2008年9月28日日曜日

メキシコからの風便り The Breeze From Mexico

コーヒにミルクを入れて、群青色のコーヒカップをラニママからもらった唐辛子のコースターにのっける。

私はまだ薄暗い小さなアパートから飛び出してパソコンを通して太平洋を越える。

そう、これが私の朝の日課だ。

「私の愛する子供達へ。今月にでもカリフォルニアのお友達と一緒にメキシコでゆっくりしてくる予定なの。 今からワクワクするわ」とパソコンを開くとラニママからそんなメールが届いていた。

メキシコか。

スペイン語が話せないから一人で旅をするのは恐ろしいけれどQちゃんと二人で行けたらいいな。

そんな想いを胸に私はコーヒーを飲み干してジャケットをはおって仕事に出かける。

あれから幾日が過ぎたようだ。

今朝パソコンを開くと、ラニママからメキシコの生温かい海風が朝一番で私のアパートに到着していた。さわさわと海の香りとさざ波が聞こえてくる。トラベラーはアクトレスになれる時間かもしれない。見知らぬ街で見知らぬ自分になる時間。見馴れない建物や風景、エキゾチックな人々の身なりが媚薬のようにトラベラーを大胆にしてしまう。もう二度と会うことのない人達と過ごす短いバカンス。別れの時がくればふっと消えてまた自分の暮らしに舞い戻どる。

トラベルをしない私には「旅」はいつも感傷的になってしまう。

「浜辺の潮風はとても気持ちが良かったわ。 だけど蒸し暑いのなんのって! ホテルのクーラーが壊れてなくて本当に助かったわ」と優しいジョークをのべるラニママ。

トラベラーなラニママには「旅」はいつもエナジーを与えてくれるビタミン剤なのだろう。

素晴らしい子供達を育てあげたラニママにはこの先健康である限りなに不自由ない暮らしをしてほしい。

それがラニママへの私からの願いだ。

晩ご飯:紫蘇と米粉麺
野菜炒め
オリーブとタマネギサラダ

「人間は歳を募らせるほど自分の人生が向上していると思えるようになる傾向にある」とある心理学者が語っていた。

ラニママや私の父を見ていると人生波乱に頑張ってきた人間ほど老後は犠牲にしてきた分だけに楽しんでもらいたいものである。