「ほら、言っただろ? 釜に入れる前に作品の表面を滑らかにすると仕上りがよくなるって。 君のはすこしザラザラしているだろう?」
私はジェリー先生のアドバイスを聞かない生徒だ。

と、優しくて可愛いジェリー先生に心の中でこっそり告げた。面と向かってそのような生意気なことは言えない。





Qちゃん、調子はどう?

Qちゃんは薄い粘土を張りつけてのオブジェクトに凝っている。


そりゃそうだろう。
Qちゃんの相棒は自分のアドバイスを聞かないし、 授業は抜け出すし、デジカメでパシャパシャ五月蝿いんだから。
「お前はどこかから送られたスパイか? 」と疑われたこともあった。
そんな生徒と打って変わって、Qちゃんは進んでジェリー先生のアシスタントを申し出る優等生。これじゃ、ますますQちゃんが可愛くてしかたがないに違いない。






Qちゃん、 いつもの「アレ」して来ます。悪いんだけどクオーター頂戴、ソフトドリンクを飲みたいから。

教室を出ると雨が降っていた。



「ななちゃん! 見い~つけた! 授業終了30分前だから残りの作業を終えないといけないぞ」Qちゃんが迎えに来てくれる程勉強してたのか? っていっても20分くらいか。






ペタ、ペタ。 ペタ、 ペタ。


ジェリー先生、 このパズルを釜で焼いて下さい。「よし、じゃまた来週だ」釜の前で作品を丁寧に出し入れしているジェリー先生を残してQちゃんと私は教室を去った。