ここ数週間ほど仕事のスケジュールが少し変わったせいもあるのか、先日は体がとても疲れていた。
体が疲れていると横になるだけで金縛りにあったように体がずしりと重くなり動けなくなる。
そして麻酔がかかっているかのように頭が働かなくなりまぶたの幕が閉じる。
駄目、駄目。 Qちゃんと約束をしたんだもん、ポットラックに何か作るって。 体に喝を入れて台所に立つ。
こういう時は煮物でいこう。
豚肉とカリフラワーを炒めてそのまま弱火で、、、、。
うつら、 うつら。
こっくり、 こっくり。
はっ、眠っていたみたい。
キッチンに急いで行ってフライパンの火を止める。
しまったぞ、煮過ぎてカリフラワーの姿がすっかりなくなっている。 ゴロゴロの豚肉だけがフライパンに寝転がっている。
まっ、いいか。 今夜の夕食にでもしてQちゃんには悪いけどポットラックはお店で何か買っていってもらおう。
おやすみなさい。
ベットで大の字になっていい気持ち。記録が薄れていく。
パタン。
玄関の扉が閉まる。
Qちゃんだ。
私のことを呼んでいる。死んだ振りをしてこのまま眠っていよう。
Qちゃんが寝室に入ってきた。クローゼットを開けて服を着替えている。ベットに横になっている私を気使って静にクローゼットを開け閉めしている。
Qちゃんが耳元で囁く。
「疲れているの? じゃ、ぐっすりお眠り。僕の白熊ちゃん」
ふと思った。
息をひき止めるときこの人がいてくれたらな。
この人の声を遠くで聞きながら。
この人の腕の中で安心して目を閉じて今までの人生はこの人あってのことだと感謝できたら。
それができたらきっと私はこの世に生きてきて良かったなと思える。
Qちゃんはそんなことを知らないでそのままリビングに姿を消した。
目を覚ます。 12時24分。 夜中だ。 それほど爆睡していたのか。
Qちゃんは 今夜はソファーで眠っているようだ。 私はそのまま眠りの森へと再び旅に出た。
いつものように時計がローカルニュースを放送し始める。 朝が来た。仕事の支度を始める。頭がスキッとしている。霧のかかった森の中から開放された時に感じる太陽の眩しい光に照らされているみたいだ。
指を折ってどのくらい眠っていたか数えてみる。
、、、はち、きゅう、じゅう。両手が必要なほど眠っていたようだ。
じゅういち、じゅうに。12時間も眠り続けていた。
眠りの森のQちゃんの白熊ってわけだ。
365日。こう疲れているときは死んだように眠りましょう。そして次への活力を得てまたゆっくりと歩いていきましょう。
急ぐことはない、走ることはない。
どんなに急いでも365日に変わりはないのだから。