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2008年10月16日木曜日

母からの返信

Qちゃんと夕食を食べているところだった。電話が鳴った。 電話の主は誰だか予想できた。

「あっ、お母さん! クデュース元気!」受話器をとったQちゃんの言葉が寝室から聞こえる。そのまま私は夕食の黒豆ソースの揚げ豆腐を食べ続けていた。「ななちゃんいるから、あの、ちょっとかわる。ちょっと待ってて」というとQちゃんは大きな声で私の名前を呼んだ。

私は目の前にあるトムヤムスープをゆっくりとふたくち飲んで寝室に向かった。

日本の家族から電話がかかってくるとQちゃんが必ず受話器をとって日本語で少し世間話をしてから「主役の私」に受話器をバトンタッチするという型式が二人の間では成立している。

電話嫌いな私と人と話すのが好きなQちゃん。 Qちゃんにしてみればこの家でオペレーター(電話対応)をすることは苦にならないようだ。

お母さん? 元気? 久し振りだね。

「うん、元気やよ。ななちゃんは元気?」

うん。元気や。 今東京に来とるんやろ?

「うん。 今、お母さん東京の千寛のところに居るんや」と母の声はいつものように舌がもつれて重々しい。しかし会話は順調だ。

「けど、、、お父さん入院したんや。 疲れとったんやろうな」母は説明もなくボソボソと哀しそうにユックリ受話器の奥で語りかける。

それは私にではなくて自分に語りかけているようでもあった。

昨日青森から東京にきた父と母。 病院から退院して充分な休養をとらずに東京行きの切符を買ったようだ。

父は1ヵ月前に癌だと告知されたのだ。

青森には適切な癌医療施設がないので東京の癌専門医療施設を訪れる予定で東京に父は来たのだ。

新幹線から下りる父は歩けない状態で車椅子に運ばれて東京駅の待ち合い室から救急車で病院に運ばれた。そして父は緊急でそのまま東京の病院に入院することになった。

母と受話器をかわった千寛ちゃんがそのいきさつを淡々と説明してくれた。

再び母と話をすることにした。

1年前病院に入院しているときは「ななちゃん、今日本から電話をかけとるん?」などと私がオレゴンにいることを把握していないころもあった。

(今はどうだろう。 少し恐いけど聞いてみよう。)

お母さん、私今どこにおるか知っとるん? 少しひょうきんな口調で受話器の向うにいる口数の少ない母に聞いてみた。

「うん、 アメリカのポートランドやろ」受話器を通じて何だか心がほっとした。母の思考や記憶が安定してきているのかもしれない。

(今の状態のお母さんならアメリカに帰化したことを私の口から直接報告しても大丈夫かな)

お母さん、お父さんとお母さんにブログを通して手紙を書いたんだけど読んでくれた?

「ああああ、読んだよ。お母さん始めてパソコンでお手紙書いたよ」

(なんだって? ブログで始めてお手紙を書く? 母は何のことを言っているのだろうか。)

(そんなことよりも「帰化したこと」を読んでくれたのだろうか。そしてどう想っているのだろうか。)

お母さん、私今月の初めにアメリカに帰化したんや。 法的にアメリカ国籍を取ってんて。ブログにそう書いてあったやろう? 読んでくれたけ?

「覚えとらんわ。 ななちゃん日記書くの上手やね」

あらよっと。なんだかツルッと濡れた道路で滑べった感じ。

母が深刻な声で「もう日本人ではないんやね」と哀しげに反応してくれると自分で悲劇のヒロインになっていた私。

母の思考能力が低下していることもあるのかもしれないし、お父さんの子供だから「好き勝手なことをしても仕方ない」と別に気にもしていないのかもしれない。

「千寛ちゃんに換わるね」そういうと母はさっさと姉に受話器を渡して部屋の奥に消えたようだ。

千寛ちゃんの体調のこと、父の病態のこと、今朝の献立のこと、淳さんのビジネスのこと、 アメリカの経済低迷のことなどを軽く喋って「明日は美保が家へ遊びに来るの。だからお母さんと3人でゆっくり過ごせそう。 ななちゃんも近くに住んでたらよかったんだけどね」そういって姉妹の会話は終った。

どんなに離れていても同じ両親の元で暮らした私達姉妹。父や母がいなくなってもこうして電話で会話をしていつまでも姉妹なのだろうか。

40歳になっても、50歳になっても。そこまで生きれるかな私。

そう思うと「姉妹」って「心強い友達」とはまた違う意味での財産だ。

電話を切ってQちゃんに父のことを報告する。 私は気分がそわそわして落ち着かない。 冷静に装ってみたがその夜はどうも心が動揺していた。

そのせいか過食に走った。 Qちゃんが林檎と桃を切って皿に入れて運んできてくれたが私は拒否してキッチンの戸棚にある炭水化物を腹を空かしたハイエナのようにむさぼった。

寝る前にパソコンを開いてみたら千寛ちゃんアドレスでメッセージが届いていた。

9ちゃんと7へ
おかあさんは東京にきていまます
めーるみました
母より

「お母さん始めてパソコンでお手紙書いたよ」母の声が蘇る。 母は電話でこのメッセージのことを言っていたのか。

「東京にきています」が「いまます」になっていても、「メール」が平仮名の「めーる」のままでも、文章の終りに点がついていなくても母が送ってくれたメールは嬉しいものだ。

母はまだ生きているという実感が沸いてきた。

父のこと、母のこと、千寛ちゃんの出産のこと。 もんもん考えても何もできないのだから気にしないようにして私はここでの暮らしと人に感謝していればいいのだ。

2008年10月15日水曜日

お父さんとお母さんへ

メールを開くと千寛ちゃんからのメッセージ。

「明日お父さんとお母さんが東京に来るのでよかったら、 ⑦と⑨の写真をブログに載せてよ。 私のパソコンで見せてあげるから」

千寛ちゃんはいつもこうだ。 自分のことより家族のことを一番に考える人。

昔は3姉妹の中間であるために「我がまま」とか「自己中心」とか「甘え上手で必ず欲しいものを手に入れる調子の良いお姉ちゃん」などと1歳年上の千寛ちゃんを見てブーブー文句をいっていた頃もあった。

しかし大人となって社会に出てみて判ったのだが「千寛ちゃんタイプの女性」は男にとって「ズル賢いがどこか目が離せない魅力の女」なのかもしれない。

要するに自分の意志が明らかでコミニケーションがディレクトなので男には分かり易いのだ。(女には強過ぎるのかもしれないが。)

しかし言ってみれば「自分を持っている女」でもある。

この点は私も譲らないほどの「自我」がある。そして人生チャランポランに暮らしている自分を私は結構嫌いではない。

今日職場でシアトルにファックスを送信するときに気がついた。

10月15日。

今日は千寛ちゃんの誕生日だ。

アメリカからプレゼントを送ったり、誕生日カードを東京まで送るなんて可愛いことをする妹ではない。 それは彼女も「私という人物」を知っているから頼みもしないし望んでもいないだろう。

いつもお世話になっている千寛ちゃん。あなたの誕生日なのでご要望通りに「Qちゃんと私のオレゴンでのホンワカ夜の過ごしかた」というタイトル写真をお父さんとお母さんへのメッセージとして以下載せておきます。


お父さんとお母さんへ

2年前の青森での初夏を思う存分家族3人で暮らせてとても愉しかったです。

あの充電期間があってお父さんやお母さんがいっていたように「Qちゃんが暮らし易い家庭環境」を第一に考えて暮らせるようになりました。

言わなくても判っていると思いますがQちゃんは相変わらず誠実で優しい私にはもったいない旦那さまです。毎日大切にしてくれます。

私も彼を大切にしているつもりです。 (パソコン前に座る私にソファーで投げキッスをしているので多分私との暮らしに満足しているだろう。)

変わったことといえば私もまた働き始めたのでQちゃんがオフの日はご飯を作って待っててくれることかな。

Qちゃんはラニママやブルークスパパが子供の頃からよく仕付ておいてくれたので私よりも掃除や洗濯が上手なので助かります。 料理だけが私の得意分野なので毎晩私が愛情料理を作っています。

今日はQちゃんの仕事がお休みでした。

私が仕事から家に帰るととってもいい匂がアパートを包み込んでいました。炊飯器の上の蒸し器にはとうもろこし。 Qちゃんの大好きなヤムというオレンジ色の甘い芋。

これはアメリカではよく食べられる芋です。 金沢でよくお母さんとQちゃんと薩摩芋を食べていましたね。 Qちゃんはそれほど甘い芋が好きなんです。Qちゃんは子供のように悪戯好きです。お母さん、覚えていますか? そこがまた可愛いのですが。私がいないと思ったのか早速とうもろこしをかじっています。 隣で目を大きくしたリスのような顔でクスクスと笑っています。Qちゃんのお料理18番はいつもこれ! レンズ豆とレーズンとチキンを玄米に入れて炊き込むんです。 これがなかなか美味しいから不思議です。 Qちゃんは今でも食事はヘルシーです。Qちゃん手作りの少し早めの晩ご飯です。

食事が済んだら二人で30分の散歩をします。

最近は寒いことを言い訳に散歩を怠っていました。だけれど今日は20分だけ二人で散歩をしました。

「散歩の替りにお部屋で30分エアロビックスをしようか」とQちゃんがこの前私にいいました。

「お母さんと僕とななちゃんでエアロビックスをしていたこともあったね」と金沢での昔話もよくしています。

こないだまで布団をかけずに眠っていたのに、今では布団から出るのに気合を入れなければいけない程寒くなりました。散歩から帰って体を温めるにはスープに限ります。

Qちゃんの好きなレンズ豆にたくさんのタマニギと卵、それに米粉麺を入れて即席スープを食べました。

覚えていますか。

2年前にお父さんとお母さんの家の居間にあった「ガラスの夫婦鳥」。

今まで連れ添ってきたお父さんとお母さんの夫婦の象徴のように思えてなりませんでした。

2ヵ月後お父さんとお母さんの巣から娘の私はオレゴン州で待っているQちゃんの元に再び飛んで行きました。私はこの夫婦鳥を胸にQちゃんの元に戻りました。

あれから「ガラスの夫婦鳥」は「私とQちゃんの夫婦の象徴」になりました。

私が一番苦しんでいた頃励ましてくれたハワイのじゅんさんともメールで連絡できます。

ここオレゴンに移ってからも親切にしてくれる人達は不思議といるものです。

言葉ではいいつくせない程の人の優しさ。 私は素晴らしい人に助けられて暮らしています。ひまわりさんから頂いたセーター。 彼女の人柄のようにとても暖かい。このセーターを着るのが大好きなんです。 お父さんとお母さんへの特別な夜なのでひまわりさんからのセーターを着てみました。それにこのテーブルと椅子。いつも可愛いがってくれるとしさんから頂きました。

お父さんとお母さんへの手紙にもよく書いてましたがオレゴンではひまわりさんととしさんには本当にお世話になっています。

尊敬できる人生の先輩がいるというのはなんと幸福な環境にいるのだろうかと思えてなりません。

ここ1年でお父さんとお母さんの生活にいろいろなことがありました。

「老い」とは皆避けることはできないのですか、お父さんとお母さんが弱くなっていく姿を見るのか恐い自分が存在するようになりました。

もう34歳ですから「何を子供のようなくだらんことを言って!」と怒れても当然です。

お父さんとお母さんの体が小さく見えるにつれて「もう濱田の娘ではなくて、Qちゃんの妻として生きる時がきたな」と今年に入って私は深刻に考えるようになりました。

13年前にQちゃんと結婚をした頃はアメリカ国籍を取ることは全く考えていませんでした。

いつか自分の両親がいる祖国日本に帰るかもしれないという気持がどこかにあったのかもしれません。

しかしQちゃんとオレゴンでゼロからやり直してその気持ちが失せてしまったのです。

「この人といっしょに暮らしていきたい」と心から願うようになりました。 この人と同じ国籍を取りたいと思うようになりました。

それはお父さんとお母さんが「この人と死ぬまでいっしょに暮らしていきたい」と心から願うのときっと似ている感情だと思います。10月6日の帰化宣誓式でQちゃんに見守られながら私は「アメリカ国籍をもつ者」となりました。

今までは濱田の家の巣でぬくぬくしていたけれど、これからは本当にQちゃんと二人でアメリカで自分達の巣をぬくめていくと決心しました。

二人だけの小さい巣です。

だけど私にはとても暖かくてどこよりも安心できる巣なんです。

Qちゃんの側でこうして暮らせること、それは私がこの世に生まれてきた理由なのかもしれません。

お父さんとお母さん、今まで育ててくれてありがとう。 これからはQちゃんの片足になって生きていきたい。

また二人の間に辛いことが起こるかもしれません。

今度は自分で処理できるような自分に備えておきたい。

それでもきっと彼の元を離れることはないかもしれない。やっぱり彼の側にいたいから。

2008年10月3日金曜日

ごめんね、おねいちゃん。

帰化面接が終リ家に帰るとどっと疲れが出た。私はベットに身を静めた。

どのくらい眠っていたのだろう。

リンリンと電話が鳴る。

Qちゃんが日本語で話している。誰だろう。

「そうそう。 あ、今、 ななちゃん、寝ている。 だけど大丈夫。はい、ちょっと待って」

受話器を手で押えながら小声で「チッヒロからだよ。 話すかい?」と私にQちゃんがいう。

もちろんよ。

そう答えてベットの上に体を起こし枕を壁に押し付けてそれに背をもたせた。

「あら、眠っていたのね。 今、お話をしても大丈夫?」千寛ちゃんの透き通るような声が受話器から聞こえる。

帰化面接から帰ってきたことを報告する。

「あら、そういえばブログにそんなことを書いていたわね。ということはもう国籍は日本人ではなくなるってことなの?」

姉はいつもこんな調子だ。 必要な時以外には妹のことにあまり深く突っ込まない。それが彼女の私への優しさなのかもしれない。

父のことや母のこと。

私はアメリカに居るだけに「聞こえないもの」がある。それは父や母や姉達の優しさで私には敢えて「聞かせてない」のだろう。

アメリカに飛んで足元がふらふらしている妹だ。そんな妹に日本の親の話をしてもどうにもならないと思うのが姉達の本音のところではないだろうか。

そう思われても仕方がない。

だが千寛ちゃんの口からはアメリカに逃避した私を責める言葉は一言も出てこない。

千寛ちゃんを見ていると私は両親に恩を返すことが何もできない無責任な娘だと思う。

人はなぜ子供を産んで育てるのだろうか。

私のように日本国籍を放棄した娘を育てるためだったのか。父や母は胸を痛めているのかもしれない。

いっそのことそう言って責めてくれた方がよかったのかもしれない。家族の優しさが心にチクチクと染みる。

ごめんね、おねいちゃん。

私が日本にいたら「家族の問題」を姉妹3人で抱えて精神的負担も軽くなるのに。

だけどもう私にはできそうにありません。世間帯を繕う為に嘘を並べることのできない不器用な妹を許して下さい。

いい加減な妹だと鼻で笑って下さい。その方が自分を責めなくて済むからいいんです。

月曜日に本当に法的にアメリカ人になってしまいます。心の中で整理をするまでまだ時間がかかりそうです。

もう頼るのは自分一人です。帰るところもありません。

最後の妹の言葉です。

おねいちゃん、家族の為に何もできない妹を許して下さい。 そして日本での妹を忘れて下さい。 日本での私はもう存在しません。これからはアメリカで生きていきます。

2008年9月13日土曜日

32年前の授業参観。

Qちゃん、お帰りなさい。 夕食はまだ準備してないの。 少し遅くてもいい?

「かまわないよ。これ母さんから」Qちゃんの手にヤキマに住むラニママからの手紙が握られている。

ラニママから? 何か特別なことでもあったのかしら。

「そうだよな。 誕生日でもないし、特別なバハイイベントでもないし。 いいじゃないか、開けて読んでくれよ」Qちゃんの手からラニママの手紙を受け取る。ラニママはいつも差し出し人の箇所に自分のフルネームを書かないで「Mom(お母さんから)」と書く。 口を大きく横に引いた笑顔のラニママが私の脳裏に浮かんできた。さすがQちゃんを育てたラニママ。 Qちゃんの「好きなもの」を知っている。世界地理が好きなQちゃんは地球儀が大好きなのだ。

Qちゃん、とっても嬉しいみたい。地球儀カードを見て私の横でニコニコしている。手紙の内容をQちゃんに読んであげる。内容は次の通りだ。

ラニママのバハイ宗教の友達が久し振りにバハイ教の品々を整理していたところ「これ」を見つけた。そして彼女は母親であるラニママに「これ」を送った。ラニママとルースおばあちゃんは「これ」をみてとても懐かしんで喜んだそうだ。 ラニママは「本人が『これ』をもっているのが一番いいかもしれないと思ったの」という言葉で手紙を終えて「これ」を地球儀カードに同封してきた。

なんと「これ」は1976年12月5日のバハイクラスに参加していたQちゃんを先生(ラニママの友達)が記録していたものだった。 32年前ということは当時9歳のクデュース少年だ。私は日本でヨチヨチの2歳だ。僕の好きなこと: フットボール、ランニング、遊ぶこと、学校の算数、歌うこと、 話すこと、木登り、探検すること、友達や大人と一緒に過ごすことも好き。僕は木登りが得意で、キックボールも得意で、野球も得意で、算数も得意です。僕が苦手なのは「Keeping my mouth shut (口を閉めて静かにすること)」と「Writing fast (早く文字を書くこと)」です。

9歳のQちゃんの発言だ。私が父兄参観で彼のクラスに参加していたらきっと遠くから彼を温かい目で見守っているだろう。

おばちゃんは君の言ってることがすごく判る、うん、判る。

32年後の君はアメフトシーズンになるとテレビのソファーに足を伸ばしておばちゃんのことなんて無視して一人でかなり興奮してるもん。

君が大学に入る頃にはランニングも時時してたな。友達と遊ぶことは毎晩だったんじゃない?

そうだね、 君が得意としているように君は数字や記号や科学に強いから大学では理科系に進むはずだったのよ。だけどバハイ宗教の教えである世界貢献をしたいという希望で君は大学に進まないでアフリカに行くんだ。

それから君は大学での専攻を政治学に変えてしまった。

欲を言うなら16年前にアイダホの大学で理科系に進んでいた君におばちゃんは出会いたかった。

君は木登りが得意っていってるけど「木にぶら下がるのが得意なオラウータンの縫い包み(ペー君)を養子にする」なんて今の君には予想もつかないでしょう?

探検が好きだよね、君。

温和しそうな顔をしているけど行動はかなりワイルドだもんね。

大人になった君に連れられておばちゃんはいろんなところに無理矢理連れていかれて「探検」させられた。

台湾の台東の月だけしか見えない泥水の田んぼの細い土手を君に手を引かれて泣く泣く歩かされた時「君はいつまでたっても冒険者(腕白坊主)だ」と諦めた。

月光のスポットライトを浴びながら蛙のオーケストラがおばちゃんと君の為に生演奏してくれていた。そんな冒険をこれからするんだ、君は。綺麗だよ、台湾の真っ暗畑で見る月は。

苦手なことも9歳にしてはよく判っているじゃないか。

けど、君は32年たった今でも「Keeping my mouth shut」はまだ苦手みたいだな。

五月蝿いからおばちゃんは聞く振りをして無視しているんだ。

「苦手です」じゃなくて逆に「得意です」と堂々と胸を張ったらいい。

9歳の君が15年後におばちゃんに出逢うと「このクラスの参加者の中で」誰が予期できただろう。

皆の前で発表し終えて満足そうに自分の席に戻る9歳のクデュース少年を教室の後ろの父兄に交じって見つめながらおばちゃんは考えている。

この教室で「君の40歳までの道のり」を読みとれるのはおばちゃんだけだな。


晩ご飯: パッタイ
豆腐と若芽サラダ

9歳のQちゃん。 無邪気で競争心があってかわいいな。

2008年7月20日日曜日

素晴らしいもの

自由気ままに歩けるゆとりがあること。それは素晴らしいこと。

誰かが植えた花の前で立ち止まる。誰を喜ばすために誰が植えたのだろうか。 それは素晴らしいこと。あなたがお弁当に夕食の残りの鯖と萌し炒めを詰めること。私が蕎麦サラダをお弁当に詰めること。それは素晴らしいこと。あなたは紺のハンカチ、私はスーパーの袋。今晩の私の贅沢はピスタチオ、あなたの贅沢は桃、苺、メロンのフルーツボウル。

性格も好みも違うあなたと私が一つ屋根の下で暮らすこと、 それは素晴らしいこと。私には素晴らしいことが溢れている、 それはあなたがすぐここにいるから。


The Wonderful Things

Waking under the freedom of time, that is a wonderful thing.

Stopping by the full of white blossoms that I wonder who planted and for whom in order to please their visions on the street. That is a wonderful thing.

Glancing your packing your own lunch with the leftover food from yesterday, that is a wonderful thing.

Packing my own lunch with a buckwheat noodle, that is a wonderful thing.

You wrap your lunch with the dark-blue handkerchief, while I throw my lunch into a plastic bag.

My tonight luxury is a bowl of pistachio, whereas yours is a bowl of fruit.

You and I, different in personarity and in taste of food, live in the same house in harmony, that is a wonderful thing.

My life is overflowing with "The wonderful things" because you are here.

2008年7月1日火曜日

感情方程式

この道を貴方は一人で幾度もなく通った。

雪降る早朝、ダークブルーのマフラーと帽子をかぶり、紫の厚い手袋に身を包んで。

きっと貴方の吐く息はくっきりと白かったでしょう。貴方の吐く息使いが私の耳に聞こえてきそうです。

慣れないオレゴンのアパートで貴方の帰りを待つのに耐えられなくてよく貴方を迎えにいきました。

貴方はこの道で私を見つけるとこぼれんばかりの驚きと笑みを浮かべて私を迎えてくれました。 そして、手を繋いでくれました。

あれから2年以上の歳月が過ぎました。今では貴方が通わないこの道を一人で歩きたくなりました。この低木は貴方が通った会社とアパートからの中間点でしたね。低木の側には夫婦紅葉。ここを通る度に私は足を止めて貴方にいいました。

「知ってるでしょう? 紅葉は私の子供の頃の想い出の木なの......」四季で彩る家の庭に立つ紅葉。私が高校生まで暮らした貴方の知らない家、そして少女時代の追憶。

ここを通る度に何度同じ話を繰り返しても、貴方は一緒に足を止めて優しく聞いてくれました。どこからか鳥の声が聞こえます。見上げると「私」が一人で高木に止まっていました。

「Qちゃん、 Qちゃん!」「私」がそう鳴くと「貴方」はいつもどこからか飛んで来てくれました。
貴方と暮らしているのに、この先どこに行くのか見えなくて不安になることがあるんです。確かなこと。この道を貴方と共に歩いたこと。道の向うには何があるか判らないけれど貴方と歩いてきました。一人では味わえなかったものを発見して貴方の胸ではしゃいでみたり。発見が習慣になってしまうと貴方の誠実さを「退屈だ」とやじってみたり。私は幼妻でした。貴方は私の罵を清らかな心の水でいつも洗い流してくれました。そんな貴方にずっと甘えていました。前方が見渡せる明るい道では貴方の手を振り払って自分一人で歩きたいといいました。

貴方は黙って後ろで見守ってくれました。一人ではなにもできない自分の弱さを知り挫折も経験しました。涙を拭いて顔を上げると貴方は微笑んでいました。

頭のいい貴方のことだから、そうなること知っていたのでしょう。

大人で判断力のある貴方だから、1度言い出したら融通のきかない私を知っていたのでしょう。私は先を考えないで一人で前に進み過ぎていました。貴方は先を考えて私の無鉄砲な判断を阻止しようとしました。 貴方の私への労りだと知らずに恨んだこともありました。ようやく貴方の偉大さを冷静になって感謝できるようになりました。まどろむ小沼は水中が見えません。表面ばかりに囚われていて、このなまぬるい水下で生物の営みが絶えず行われていることを見落としていました。視力ではなく心力でしか測ることのできない「沈黙」や「静止」は容易いようで実は難しいことを知りました。

「待つ」は「失う」ではなくて「獲る」になることもあるという方程式を貴方は教えてくれました。「卵」が沼の中で生命を獲るように、「私」も貴方の確かな愛情で包まれながら成熟を獲ています。

私には「貴方の温もりに触れる暮らし」が不可欠なのです。貴方の血が通う温かい体に触れていられれば「なくてもいい不安」におびえなくてもいいのかもしれません。

貴方の温もりに触れる暮らし≧なくてもいい不安、

今の私の感情方程式です。

晩ご飯: 豆腐ハンバーグ
西瓜の皮のキンピラ
豆ご飯

2008年6月26日木曜日

The Purple is of You

Purple represents your presence since I found it was your color.

Do you recall the first date that you wore the soft silky purple shirt and knocked the door of Donna's to ask me out for the evening?

That night you said that purple was your color, the color of silence, darkness, loyalty, and dignity.

Your words are a testimony to our years of companionship and I witness that you are the purple flower blossomed in the garden of my mind where nothing blows away your presence from me. When I see the purple flower in the wild on my way to taking a walk in an early summer breeze, I want you know that I remind of you.

Hoping that you witness that my silence, darkness, loyalty, and dignity are yours.

晩ご飯:白魚の蒸しもの
即席きゅうりのキムチ
大根菜の炒めもの
パラメザンチーズリゾット

2008年5月1日木曜日

だから止められないの - SO, I AM ADDICTED TO YOU

Yesterday, I went to the bed early after we watched "Wallance & Gromit", that you rented for me as I especially love watching "clay movies". (昨日、私がクレイ映画が好きだからとあなたがレンタルしてきた「Wallance & Gromit」を二人で見てから、いつもより早くベットに入った。)

This morning, I woke up in the bed and found you next to me. I hugged your slender back with my arms around your waist, feeling of secure, affection, and comfort to start the day. (朝ベットで目を覚ますとあなたは私の隣にいる。あなたの細くて長い背中、両腕を腰に回しながら私は安らぎと愛情と心地良さを感じながら今日一日を始める。)

You turned around your face toward me and kissed my lips so many times as we always do in the morning in the bed. Do you know that I feel like being your faithful puppy when you pet me in the morning?(あなたはくるりと振り返っていつものようにたくさんのキスをしてくれる。あなたがこうしてメチャクチャに可愛いがってくれるたびに、私はあなたに愛撫されるのを待つ誠実な仔犬になってしまいそうなのを知っていますか?)

"I saw your blog last night. You posted a lot! What was about the "Thumbs Up" and "Thumbs Down" stories?" you asked me while closing your eyes in the bed.(「昨日の夜ブログを見たよ。いっぱい更新したね。『Thumbs Up』と『Thumbs Down』あれはどんな話だったの」あなたはベットの中で瞳を閉じたまま私に訊ねた。)

"You refused to kiss me last time, saying that I might transfer my virus. You know, I seldom ask you for physical affection, and you denied my offer. You missed the chance, honey. Your rejection to my "special" offer disappointed me and I described your behavior as the picture of "Thumbs Down" from a woman's stand point of view," I explained the stories on my blog to you.(「ほら、この前『私のウイルスが移るから』って私とキスするの拒んだでしょう? 私から甘えることなんて希なのに、あなたそれを拒んだのよ。チャンスを逃したわね。折角「滅多にない機会」を与えてあげたのに、それを拒否するなんて。女の立場からいわせてもらうけどあなたのとった行動は『Thumbs Down』っていってるの」あなたにブログの説明をする私。)

You smiled at me and hugged me and kissed me everywhere on my face.(あなたは笑顔で私を抱き締めて私の顔の至るところにチュチュチュチュとキスをした。)

You took a shower for the day and came out from the bathroom, wrapping the blue towel around your waist. Whom am I seeing? Is that you, that I was just kissing in the bed 15 minutes ago? (朝のシャワーを浴びて、ブルーのタオルを腰に巻いてあなたはバスルームから出てきた。目の前にいるこの男は誰だ? 15分前にベットで私とキスを交していた男なのか?)

You and I, Pepe on my shoulder, had a short but "nothing special" conversation before you left the house for the day. (仕事に出掛ける前に、ペー君を肩に乗せた私とあなたは短くてたわいない話をする。)

You make a quality time for us, as we call "togetherness." (あなたは私達のために大切な時間を作ってれる、『togetherness - 二人一緒の時間』だ。)

"I must go now, " you start getting ready for work, and I see your quick movements. (「そろそろ行かないと」あなたはいそいそと出掛ける準備に取り掛かり、それを私は見ている。)

You softly kissed my lips at least 4 times this morning saying "I know you needed my soft kisses on your lips last time. I am giving you right now" closing your eyes with long eye lashes. (今朝のあなたは丁寧に優しく私の唇に4回キスをした。「僕のソフトキス、『この前の朝』して欲しかったんだね。 かわりに今朝してあげるからね」長いまつ毛が生えた目を閉じたままあなたがいう。)

You left the apartment, looking up the upstairs 2 times to where Pepe and I were standing, staring down at our handsome prince. (アパートの2階の階段で私とペー君はあなたが去っていくのを眺めている。あなたは2度私達を見上げてアパートから消えていった。)

I cannot stop caring about you when you followed my request on the blog and demonstrated the corrective action immediately, like kissing me at least 4 times. (ブログで「求愛した女を踏みにじるなんて、女心も知らないで!」と警告されたことを知ったあなた。それを知った矢先、こんなにも早く素直に反省して改めてキッスをするあなた。そんなあなたを好きにならずにはいられない!)

Are you kidding me? How dare I can leave this man and walk away for another man? (あなたを捨てて、他の男の元に走るなんてありっこないない!そんな馬鹿な話あるわけないない!)

パッタイ、 あなたと同じで止められないの。野菜パッタイ
目玉焼き
もやし
キュウリ
トマト
味噌汁

あなたに愛されること。 やっと素直に受け止められるようになれました。

2008年4月26日土曜日

記念すべき夜 (Special Evening)

しまったお米を切らしていたんだっけ。(whoops, we don't have any rice.)

じゃスペルト小麦でパンでも焼こうかな。(Well then, I will make some spelt bread.)

そうそう、 としさんが仕事帰りに寄ってってくれるんだった。 うひひっ、Qちゃんととしさんをエッチな冗談で笑わせちゃえ!(Oh, Toshi will stop by my apartment on her way home. Hahahaha, it would be fun to entertain Toshi and Quddus with my "dirty" joke!)

Qちゃんが帰ってきた。(Here is Quddus!)

お帰りなさい。 あのね、としさんが今晩寄るから、夕食に 「特別なもの」を作ってみたの。(Welcome home honey. Toshi will stop by on her way home, so I made "something special surprise" for you and her.)

Qちゃん、そろそろ「特別なもの」が出来上がったみたい。 見たい? (Quddus, the special surprise seems to be ready to see you. Would you like to meet them?)私のおっぱいブレッドを焼いてみたの。 (I baked "My Breasts Bread".)私のおっぱいより形がいいわね。(These breasts are better than mine.)

Qちゃんは公共の場で性的なコメントをするような人ではない。 無論妻の私が性的な写真を公表するのは問題外だ。(In general, Quddus has a manner by not engaging in a sexual conversation in public. No chance that he would allow his wife to post her sexual picture on her blog.)

のはずなのだが、今夜は違う。 (That was what Quddus has been, and I expected him to react in such "a stone head." But, somehow, he is different this evening.)

ねぇ、Qちゃんが駄目だっていうのは百も承知なんだけど、 このオッパイブレッドで私の写真をブログに載せたいんだけど、許可してくれる? (I know that you would answer "(hell) no!" to my favor, but will you give me a permit to take my picture with breast bread by chance?)

答えは「駄目」に決まっている、 けどもしかしたら、、、。(I know that he wouldn't say "yes," but who knows?)

過去にチョコレートでヌード写真を頼んだとき見事に断わられた。(Once asking Quddus to take my "chocolate nipple pictures" that my fond friend had suggested, he denied my favor strongly.)

だから私の替りにペー君の写真を撮った。 (So, I took my little Pepe's picture with chocolate nipples instead of me.)翌朝まだ腹の虫がおさまらなかったから、Qちゃんが寝ている間に仕返しをした。 (Next morning, I was still upset with Quddus' decision last night: therefore, I decided to give Quddus a revenge while he was still in bed peacefully.)Qちゃんが起きてブログをチェックして「私のチョコレイト乳首写真」に驚くかと思ったけれど、 なかなか彼には好評だったご様子。(When my opponent woke up and checked my blog, I anticipated that he would get shocked by seeing my revenge picture. However, he appeared to be quite enjoyable to see the surprise bomb on the screen. My enemy never lose his battle.)

えっ? 今何って返事した? 「うん、 いいよ」っていったでしょう? (What ? What did you answer to my favor? Didn't you say "O.K."?)

そんなことがあるのだろうか? Qちゃんが冗談でもオッパイブレッドの写真を撮ってくれる、 これは特別なことだ。 彼の気持が変わる前にさっさと撮影をしよう。(Is it possible that Quddus can allow me to take my "sexual" photo with breast bread? It must be extremely surprise! Let's work on my project before he changes him mind.) Qちゃん、私のオッパイ写真。撮ってくれる? (Quddus, will you take my picture?)

想像はアート、ユーモアは笑い。今晩はQちゃんもモデルになってくれる?(Imagination is art and humor is laughter. Can you be my model tonight, Quddus?)

両手をオッパイブレッドに近ずけて、 そうそういい感じ。はい、 動かないでそのままですよ。 はい、 写真を撮りますよ。(Quddus, could you put your hands close to the breads? Yes, this is great! Don't move your hands for a while so that I can take a picture.)タイトル:「おっぱいブレッドに手を伸ばす手」(Title: The Hands Reaching Out To Breasts Breads.)

Qちゃん、おっぱいに触われて嬉しいって顔をしてくれる? モデルなんだからそういう顔を作れるでしょう? (Quddus, can you make a face that a man becomes happy because of seeing breasts? If you are a "model", you can act like that in front of the camera.)タイトル:「男ってオッパイが好きなのね」 (Title: Men Love Breasts.)

としさんが来る前に晩ご飯を食べちゃおうね。(Let't have a dinner before Toshi comes.)サラダ
黒豆と挽肉のトマトソース
スペルトオッパイブレッド
(Salad
Black beans and Ground Beef in Tomato Sauce
Spelt Breast Bread)

あっ、としさんだ。 ねえ、としさん。今晩の夕食は特別なの。食べていかない?(Here is Toshi! Hi, Toshi, thank you for stopping by. I made a special dinner for tonight. Will you have a dinner with us?)