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2008年10月18日土曜日

かもめ

かもめが一羽。

海がないのにかもめが一羽。

かもめは何を見ているのかな。

何が見えるのかな。

何を考えているのかな。

家族はいるのかな。

今夜帰るところはあるのかな。

そこには羽根を温め合う相手はいるのかな。

海がないのにかもめが一羽。

いつになったら海に帰るのか。

かもめを見上げた足をまた動かして家に帰った。

ひまわりさんから赤飯をもらった。 赤飯を食べるなんて何年振りだろう。 愛でたいことはここずっとないから赤飯なんて炊いてないもんな。「祝い」とか「記念日」とかそういう「いつもより5センチ上の日」みたいな印。

「花束を送る」とか「レストランに食事に行く」とかそういう「いつもとは少し女らしくなれる日」みたいなこと。

すっかり生活の中から消えている。

時にはこういういつもと少し違う演出をしてみるのも生活のスパイスになっていいのかもしれないな。

退屈な女だな、わたし。

2008年10月16日木曜日

母からの返信

Qちゃんと夕食を食べているところだった。電話が鳴った。 電話の主は誰だか予想できた。

「あっ、お母さん! クデュース元気!」受話器をとったQちゃんの言葉が寝室から聞こえる。そのまま私は夕食の黒豆ソースの揚げ豆腐を食べ続けていた。「ななちゃんいるから、あの、ちょっとかわる。ちょっと待ってて」というとQちゃんは大きな声で私の名前を呼んだ。

私は目の前にあるトムヤムスープをゆっくりとふたくち飲んで寝室に向かった。

日本の家族から電話がかかってくるとQちゃんが必ず受話器をとって日本語で少し世間話をしてから「主役の私」に受話器をバトンタッチするという型式が二人の間では成立している。

電話嫌いな私と人と話すのが好きなQちゃん。 Qちゃんにしてみればこの家でオペレーター(電話対応)をすることは苦にならないようだ。

お母さん? 元気? 久し振りだね。

「うん、元気やよ。ななちゃんは元気?」

うん。元気や。 今東京に来とるんやろ?

「うん。 今、お母さん東京の千寛のところに居るんや」と母の声はいつものように舌がもつれて重々しい。しかし会話は順調だ。

「けど、、、お父さん入院したんや。 疲れとったんやろうな」母は説明もなくボソボソと哀しそうにユックリ受話器の奥で語りかける。

それは私にではなくて自分に語りかけているようでもあった。

昨日青森から東京にきた父と母。 病院から退院して充分な休養をとらずに東京行きの切符を買ったようだ。

父は1ヵ月前に癌だと告知されたのだ。

青森には適切な癌医療施設がないので東京の癌専門医療施設を訪れる予定で東京に父は来たのだ。

新幹線から下りる父は歩けない状態で車椅子に運ばれて東京駅の待ち合い室から救急車で病院に運ばれた。そして父は緊急でそのまま東京の病院に入院することになった。

母と受話器をかわった千寛ちゃんがそのいきさつを淡々と説明してくれた。

再び母と話をすることにした。

1年前病院に入院しているときは「ななちゃん、今日本から電話をかけとるん?」などと私がオレゴンにいることを把握していないころもあった。

(今はどうだろう。 少し恐いけど聞いてみよう。)

お母さん、私今どこにおるか知っとるん? 少しひょうきんな口調で受話器の向うにいる口数の少ない母に聞いてみた。

「うん、 アメリカのポートランドやろ」受話器を通じて何だか心がほっとした。母の思考や記憶が安定してきているのかもしれない。

(今の状態のお母さんならアメリカに帰化したことを私の口から直接報告しても大丈夫かな)

お母さん、お父さんとお母さんにブログを通して手紙を書いたんだけど読んでくれた?

「ああああ、読んだよ。お母さん始めてパソコンでお手紙書いたよ」

(なんだって? ブログで始めてお手紙を書く? 母は何のことを言っているのだろうか。)

(そんなことよりも「帰化したこと」を読んでくれたのだろうか。そしてどう想っているのだろうか。)

お母さん、私今月の初めにアメリカに帰化したんや。 法的にアメリカ国籍を取ってんて。ブログにそう書いてあったやろう? 読んでくれたけ?

「覚えとらんわ。 ななちゃん日記書くの上手やね」

あらよっと。なんだかツルッと濡れた道路で滑べった感じ。

母が深刻な声で「もう日本人ではないんやね」と哀しげに反応してくれると自分で悲劇のヒロインになっていた私。

母の思考能力が低下していることもあるのかもしれないし、お父さんの子供だから「好き勝手なことをしても仕方ない」と別に気にもしていないのかもしれない。

「千寛ちゃんに換わるね」そういうと母はさっさと姉に受話器を渡して部屋の奥に消えたようだ。

千寛ちゃんの体調のこと、父の病態のこと、今朝の献立のこと、淳さんのビジネスのこと、 アメリカの経済低迷のことなどを軽く喋って「明日は美保が家へ遊びに来るの。だからお母さんと3人でゆっくり過ごせそう。 ななちゃんも近くに住んでたらよかったんだけどね」そういって姉妹の会話は終った。

どんなに離れていても同じ両親の元で暮らした私達姉妹。父や母がいなくなってもこうして電話で会話をしていつまでも姉妹なのだろうか。

40歳になっても、50歳になっても。そこまで生きれるかな私。

そう思うと「姉妹」って「心強い友達」とはまた違う意味での財産だ。

電話を切ってQちゃんに父のことを報告する。 私は気分がそわそわして落ち着かない。 冷静に装ってみたがその夜はどうも心が動揺していた。

そのせいか過食に走った。 Qちゃんが林檎と桃を切って皿に入れて運んできてくれたが私は拒否してキッチンの戸棚にある炭水化物を腹を空かしたハイエナのようにむさぼった。

寝る前にパソコンを開いてみたら千寛ちゃんアドレスでメッセージが届いていた。

9ちゃんと7へ
おかあさんは東京にきていまます
めーるみました
母より

「お母さん始めてパソコンでお手紙書いたよ」母の声が蘇る。 母は電話でこのメッセージのことを言っていたのか。

「東京にきています」が「いまます」になっていても、「メール」が平仮名の「めーる」のままでも、文章の終りに点がついていなくても母が送ってくれたメールは嬉しいものだ。

母はまだ生きているという実感が沸いてきた。

父のこと、母のこと、千寛ちゃんの出産のこと。 もんもん考えても何もできないのだから気にしないようにして私はここでの暮らしと人に感謝していればいいのだ。

2008年10月14日火曜日

I am busy right now.

"What are you doing, Pepe? You look very intense to work on your computer today! (ペー君、何してんのさ。今日はやけにパソコン熱心じゃないのさ)"

Oh, yes, mommy. I must deal with my life. Life can be very tough on me.(うん、そうなんだ。 人生って奴は悪戯に僕を迷わして僕はそれを対応していかなきゃいけないんだ。)"Is anything wrong with you? (何かあったの?)"Mommy, you do not know the feeling of losing somebody that I have been attracted secretly in my mind. (ママには心秘かに想った女性を失う喪失感はどんなものか判らない。)" Whom are you referring to? First of all, you have so many girls in your mind that I cannot catch up with all of them. Which one broke your heart this time, my dear Pe-chan?" (誰のこといってるのよ。ペー君、あんた数え切れないほどの女の子に恋をしているじゃないの。今度はどの子に失恋したのさ。"Everything has been smooth between "us" until "HE" stepped into our fond memories. (彼女とは万事うまくいっていたんだ、そう「奴」が二人の間に割り込んでくるまでは。)"........uh, Pepe. How many times did daddy and mommy tell you that Sheila has been Jafar's girlfriend in the first place BEFORE you met her?" (、、、あのね、ペー君。何度もいうようだけど「シラさんは君が彼女にひとめぼれする前からジェファーの恋人だった」のよ。"

I do not understand why Sheila is choosing uncle Jafar over me? (シラちゃんの気持ちが全然判らないよ。僕よりジェファーおじさんの方が魅力的だっていうのかい?)

"I am sorry, Pepe. But, I do not know. Let daddy explain to you when he comes back home tonight." (ペーちゃん、 ママにも全く判らないわ。 今晩パパが帰ってきたら説明してもらいましょう。)"

(Of course, I know the reason. Pe-chan! You are STUFFED ORANGUTAN!)
(そんなのこと一目了然じゃないの! ペー君、あんたはオラウータンの縫い包みでしょうが! 縫い包み!)

晩ご飯:鳥肉と大根菜の炒めもの
久離の醤油漬け
トマトとわかめのサラダ
卵のチリスープ
玄米

このブログを今朝読んだQちゃん。 結末の部分に不満らしい。

朝から凄い見幕で「君はペー君になんてことをいうんだ! 本人は縫い包みだとまだ気ずいていないんだぞ。かわいそうじゃないか!」というコメントを頂きました。

なんだか私とQちゃんも「ペペちゃんワールド」に入りこんでしまってどこまでが現実なのか判んなくなってきちゃったみたい。

2008年10月12日日曜日

暖房準備点検

そろそろ暖房の季節になったな。 暖房の掃除も兼ねて点検をしておこう。ペー君、パパのお膝においで。パパと一緒に暖房点検をしよう。配線の埃を綺麗に取り除くんだ、判ったかいペー君。「うん、 判った。」埃を取って綺麗になったら今度は配線を整理するんだよ。 「このクネクネした配線を整えるんだね。」 そうだよ、ペー君。なかなか賢くてしっかりしているな。よし、次は弱まったネジを強く回して安定させる作業だ。ペー君、やってみるかい。「うん、 僕やってみたい。」こりゃ、驚いた。ペー君はとっても腕がいいな。ペー君、よくできた! 最後のネジを回してくれないかい? 「こんなの朝飯まえさ!」ペー君とパパ、お疲れ様でした。 さっそく暖房を入れて晩ご飯にしましょう。

晩ご飯:すずきのオーブン焼き
じゃが芋の炒めもの
トマトとわかめと絹さやのサラダ

暖房の調子、なかなか好調みたい。 Qちゃん、暖房点検ありがとう。 今年のノースウエストの厳しい冬もあなたの片に寄り添って乗り越えられそう。

2008年10月11日土曜日

ジェファーとシラさん、ついに結婚!

「ななちゃん、はい、 お土産だよ」Qちゃんは白いプラステックの袋を手にして息をはずませて家に帰ってきた。

袋の中は昨日も頂いてきたQちゃんの同僚の家の庭になるマスカット。

このマスカット小粒でとっても甘い! それにとても透き通っていてまるで宝石のようだ。そうなんです。 義理の弟のジェファーが彼女のシラさんとついに結婚するとの報告がありました。

「ついに来たか!」というのが私とQちゃんの反応だったけど今年の感謝際で家族に報告するとのこと。

仕事のボスさんにスケージュールのリクエストを一応しておいたけどどうなるかな。

晩ご飯:揚げ豆腐と青菜の春雨炒め
キュウリと人参の胡麻油和え
トムヤムクン
玄米

私とQちゃんの暮らしがあるように、ジェファーとシラさんの暮らしもあるわけで。人間って「2人」が寄り添うように遺伝子がインプットされているのかな。

2008年10月10日金曜日

夫婦(めおと)マグカップ

使わないものはおかない。そういう生活をするように心掛けています。

シンプルな二人がシンプルに暮らす、それだけで良い関係。

Qちゃんと私の1日の褒美として晩ご飯を作る。

作っているプロセスと作ったあとで皿に盛り付けて二人で食べること。 その日の一番癒される時間。

気がつけばスープが飲みたくなる季節になりました。

コーヒーカップ(マグカップ)で汁物茶碗を代用してもう2年以上が過ぎました。

幅の狭いマグカップ。大きなオタマで鍋からスープを入れると必ず汁が横にしたたりこぼれてしまいます。

その汁を布巾でぬぐうたびに「幅の広いスープ皿」が必要だなと心の中で想いつのらせておりました。

ついにセカンドショップで夫婦(めおと)マグカップを購入しました。 毎晩使う黄色のプレートにあうソフトな色合い。ディスプレイの棚に迷わず手が伸びていました。

今晩も肌寒い。

Qちゃんの好きなものをお鍋に入れて、今晩はシンプルでヘルシーなスープディナーです。ターキーの心臓と鳥肉のレンズ豆スープ
スペルトパンのトースト

マグカップの幅が広いのでオタマから汁を入れるときにこぼれません。 これなら毎晩でもスープを作りたくなります。

そんな小さなことでこんなにも喜んでいる自分を発見。こういうのどかな暮らしが調度いい今日この頃です。

2008年10月9日木曜日

一人ぼっち

一人ぼっちで散歩をしてたら緑中に際立って見えた。あなたも一人ぼっちですね。淋しくありませんか。そんなことはないわ。この緑の草原で私を目印にしている鳥達や子供達がいる限り。

そうか。

私を必要としている人がいてくれる限り一人ぼっちで淋しいということはないのかもしれないね。

晩ご飯: 頂いた野菜の幸で私には居なくては困るあなたの晩ご飯を作ります。きゅうりのピリ辛醤油炒め
トマトと黒豆のマリネサラダ
塩鯖
玄米

私とQちゃん夫婦を親切に気にかけてくれる人もいるんだもん。 私達はなんて幸せなのでしょうか。

2008年10月8日水曜日

風呂と扇子と想い出と

日本に住んでいた頃Qちゃんはアメリカに帰るたびに日本の扇子を持って帰っていた。

扇子というと丁寧な響きで絹で出来ている高価なうちわのようだが、Qちゃんが好むのは庶民派の祭なんかでただでもらえる紙と割り箸でできたうちわだ。

それをアメリカ人の友人や家族の土産にするとたいそう喜ばれるのだ。

やはり人間は誰しも異国の物や習慣に興味をそそられるのだろう。

前世は「温泉につかる日本猿だった」のではないかという程Qちゃんは温泉好きである。

Qちゃんは温泉と浴衣が大好きで旅館に泊まるといつも丁寧な日本語口調で旅館の従業員に話しかけて旅館の浴衣を記念に頂くのが常であった。

日本へ旅行をしている身分ならまだしも日本に住んでいる身分のQちゃん。

日本人の私はすこし気が引ける気がしたが従業員さんは「気になさらないで下さい。うちには浴衣はたくさんありますから」と大変親切な言葉をかけて下さった。

そしてQちゃんは英語なまりの日本語で「どうも、ゆっかた、ありがとう」と旅館の玄関でスリッパを脱ぎ靴にはきかえ女将と主人から見送られながら門を出るのであった。

ちゃんと頭も下げてペコリとお辞儀までしているQちゃんを見て「あなたもやるわね」と感心したもんだ。

昔も現在でもそうだが、私はQちゃんの言語行動をアメリカ人だと区別して観察しているふしがある。

このように昔の想い出を書いていると、ふと気がついた。

Qちゃんはどうやら三文字の日本語単語を発音するとき「最初の単語の音素にアクセントを置いて発する傾向がある」ようだ。

「ゆかた」の場合は『ゆ』にアクセントが強調されて発せられる。

これは姉の 「ちひろ(ちゃん)」を『ち』にアクセントを置いて「チッヒロ」と呼ぶのと似ている。

例しに「私の仮説」が正しいかどうか試してみることにした。

3文字の日本語単語、、、、3文字の日本語単語。

パソコンの画面から目を離して部屋の中をきょろきょろと見渡してみる。ソファーの家で寛ぐQフロッグを発見!そうだ! これでいこう!

Qちゃん、あのさ、「Frog (カエル)」を日本語でなんていうかいってみて。

「か(ッ)える」


(やっぱり、そうだ。) えっ、聞こえなかった。もう一回いってみて。


「か(ッ)える」


やはりQちゃんは「か」にアクセントを置いている。

まだまだ他の単語でも例してみなければいけないので「この仮説」は正論かどうかこの時点では断言できないが、時間がないからここで中断することにする。

今晩は肌寒い。こんな秋夜は夕食前に熱い風呂につかって自分にご褒美をあげようではないか。

ルルルルルルウッ~、 湯ぶねで歌までうたうほどお風呂はやっぱり気持がいいな。

風呂から上がるとQちゃんがニュースを見ていた。

Qちゃんもお風呂に入れば? 今晩は冷え込んでるもん。気持いいよ。

初めは乗り気ではなかったようだが「風呂上がりにご褒美が待ってるよ」の私の一言が彼の決断を変えたようだ。

私がつかったオフロにQちゃんが体を浸している。寝室に行く振りをしてこっそり覗いてみるとQちゃんは赤ちゃんのように体を湯ぶねに沈めて幸せそうに目を細めている。

この風景が好きだ。

オレゴンのアパートだろうと、ハワイの大きなバスルームだろうと、日本の金沢にいた頃の狭い日本式のオフロだろうとQちゃんのこの幸せな顔を拝めれることほど贅沢な一時はない。

雪國金沢で暮らしていたころ。

ぼた雪が降る夜仕事から自転車で帰ってくるとQちゃんがまずすることは「母がQちゃんのために沸かしてある熱い風呂にドバッと全身を浸すこと」であった。

私は彼のパンツとパジャマを運ぶついでに晩ご飯につくっておいたクリームシチューを温める。

彼が蒸気で頭をのぼせて倒れているのではないかという自分勝手な理由をつけて風呂場にいる彼によく声を掛けたものだ。

あれや、これやと話し掛けていると終いには風呂場からQちゃんの返事が聞こえなくなってくる。

心配をするというよりも、むしろQちゃんが何をしているのかという好奇心から私が風呂場の扉を開けるとそこにはいつも同じ姿のQちゃんがいた。

その姿はまさに日本猿が快感の頂点に達して目をつぶっている姿だ。

そういえば最近Qちゃんのこの姿を拝む機会がなかったな。

今年の冬はたくさんお風呂を沸かしてQちゃんを幸せ絶頂の温泉猿にしてあげよう。

Qちゃんは日本の銭湯が大好きでバスケットをした後必ず友人と一緒に銭湯で汗を流すのが彼の日曜日の過ごし方であった。

市営体育館から車で10分くらいの所に、確か「レモン湯」という浴場があったはずだ。

その公共風呂でアメリカ猿と日本猿は同じ湯につかり裸の付き合いをしていた。Qちゃんはそれほど温泉や銭湯の日本習慣が好きなのだ。

そして家に帰ってくると汗ばんだティーシャツとタンパンに靴下、それに温泉で脱ぎ捨てた下着をスポーツバッグから取リ出して洗濯機に投げ込む。

それが終ると必ず私と両親がテレビを見ている居間に顔を出して家族だんらんの寛ぎを取り戻す。

つくずく思うが、Qちゃんは私とは大違いで私の両親と時間を過ごすことを自発的にかってでていた。

サザエさんのマスオさんに匹敵を取らないほどの良い婿さんだと自分でも思うし、それを保証するのは誰でもない私の両親だっただろう。

先月帰化する前に父と電話で話した。

父はしょぼんとした声で「お父さんはななが帰化することには全然反対はしないよ」といった。

しばらく沈黙があった。

それから父が受話器で「だけれど本当は、、、、もちろん、できるならばの話だけどね。クデュースとななに日本に戻ってきてまた一緒に暮らせればお父さんもお母さんも嬉しいんだ」

父の様態のこと、これからの母の看病のことを考えると「帰化する決断」に一瞬迷いがよぎった。

しかしその感情をマイナスにして私は帰化面接にのぞんだ。

私が帰化をするにあたって周りの皆が単調に「おめでとう!」というけれど、私の心は皆が考えているように「めでたい」わけでは決してない。

父と母の戸籍謄本からQちゃんと結婚をして自分の戸籍を持つ身となった。

あの時から私は父と母の家元を法的には抜けたのだろうが、私にはまだ家元に帰れるという気持があった。

帰化をすることは父と母の戸籍から私の名前が永遠に消えること、同時に私は家元まで失った。私の心はやはりまどろんでいる。

人が思うほど私の心や状態は明るいパステルカラーではない。

しかし気持ちはそうでありたい。そしてそう信じるように努めている。

いつか自然とそうなる自分ができあがるまで自分を見守っていこう。

そうこうしているうちにQちゃんが風呂からあがってきた。

「風呂からあがると体がポカポカしてなんだか暑いくらいだ」お風呂あがりのQちゃんは顔がほてっているせいかなんだか誘惑してしまいたい。そんなQちゃんを待っているのは晩ご飯と体の火照りを冷ます「うちわ」だ。としさんからもらったのこのうちわの和菓子! 見た瞬間にひとめぼれ!

壊れやすいからここで食べなさいといわれたけれど、ブログにのっけたかったこと、それにQちゃんにも見せてあげたかった!こんな綺麗な和菓子! 日本の菓子だよね、さすが!

うちわ菓子を頂くまえに晩ご飯の献立を書いておかないと!チンゲンサイと大蒜の炒めもの
大蒜味噌と玄米
若芽と萌しのナムル
豆腐の味噌汁Qちゃんも興味津津! 二人でうちわをあおいで体のほてりを冷ましたら、がぶっ!Qちゃんはうちわの右側を、私はうちわの左側をかぶりとやりました。わあっ、感激! やわらかい米煎餅にハッカ味のゼリーもちが優しく包まれている。

丁寧で繊細なうちわ和菓子は日本の美意識を思い出させてくれた一品でした。としさん、 ありがとう。

2008年10月7日火曜日

すこし SLOW DOWN

帰化宣誓式などバタバタしていたこの数日間。 心と体の疲れがにじみ出てきている。

だからしばらく心と体が生活に追い付くまですこし SLOW DOWN。

アパートの隣人はロックミュージック、下人は友達とビデオゲーム。 私はQちゃんの知り合いから頂いた秋の収獲を見つめて一人でリラックス。 野菜畑に出て土の匂いや湿りを体で触れること、私の理想とする暮らし。畑には何を植えようか。考えるだけでわくわくしてくる。肥料には臭いけど安いから鶏のフンをまこうか。自分の畑が欲しい。 自分の外の空間が欲しい。

いつになったら自分の畑がもてるのかな。いつになったら自分の外の空間がもてるのかな。

Qちゃん今晩は畑の幸と友の幸に感謝してご飯を食べましょう。トマトと黒豆サラダサラダ
茄子とピーマンの大蒜味噌炒め
きゅうりの浅漬け

今晩の私の贅沢はインドのローズセントをたいて足を伸ばしてバスタイム。

2008年10月4日土曜日

Peanut Butter and Jelly Sandwich

アメリカの子供のランチといえば、 ピーナッツバターと甘いジャムがはさまれたPJサンドイッチ。

「ほらほら学校に遅れるわよ! 早くしなさい!」

とアメリカ人のママ達は台所で急がしく子供の為にフルーツジュースや果物スナックをジップバックに入れてあげているのだろうか。

子供がいる生活は忙しいだろうなと思う。 ましてや手の掛かる子供が3人もいると慌しくて大変そうだ。

子供を学校に送っていき、自分は仕事に行って、仕事が終ればまた子供を迎えに行って、そのままマクドナルドに寄って軽い食事を済ませて、それから習いごとに連れて行って、、、。

働くママはかなりの重労働をしているのではないかと義理の妹を見ていて思う。

羨ましいというよりも「ご苦労さまです」というねぎらいの言葉がつい出てきそうだ。

子供がいない私はPJサンドイッチを作ったこともなければ食べたこともない。

そんな私にPJサンドイッチを口にする機会が訪れた。

3人の子供を持つアンちゃん。今日のランチにPJサンドイッチを余分に持ってきていたのだ。

さっそく家に帰って息子のペー君と初PJサンドイッチを口にしてみた。ふむふむ。噛みごごちたっぷりファイバーたっぷりパンにクリーミーなピーナッツと甘い果物ジャムがお腹を空かしていた私の口の中で調和されていく。

美味しい。

アメリカの子供達は学校のカフェテリアでこのようなサンドイッチをかじりながら友達とおしゃべりに夢中になっていたのか。

ほんのわずかだったが、台所で一人アメリカンキッズになれたような気がした。

おやつにサンドイッチを食べ終えたら晩ご飯を作る気力が消え失せた。そんな時に限ってQちゃんがすこし早く帰宅する。それも小腹を空かして。

Qちゃん、ご飯まで時間があるから自分で何か作りなさい。ラニママもそういって子供を育てたのだろう。

Qちゃんはそういうと素直に台所に行って自分で簡単なものを腹に収める。

タリラリ、ラララッー!

Qちゃんは自分のスナックの出来映えにご満足のようでBGMまで口ずさんでいる。それにしても特別なスナックには見えないんだけど。

「写真を撮ってもいいよ」

、、、。(あんまり興味がないな。) 心の中で呟いた。Qちゃん作成のスナックを彼がテーブルの上からどかすまで待つことにした。

20秒が過ぎる。二人とも沈黙したままだ。

Qちゃんは写真を撮ってくれるのを温和しく待っているようだ。

30秒。

40秒。

負けた。写真を撮ることにした。

お義理でパシャリとシャッターを切った。撮影が終るとQちゃんは待っていたかのように「凄いだろ!このスナックは特別なんだ!」と口をパクパクして切実に語り始めるではないか。

どうやら私には体の大きい40歳の息子がいたようだ。

それにしても、これのどこが特別なんだよ? と低い声で聞いてみた。ベランダに光が入らない私のアパート。 西日の窓がある寝室に我が家のプラント君達はいつも仲良く日向ぼっこをしています。

玉葱プランツ君は私のお気に入り。青い葱を切っても切ってもグングン伸びる。 それを見るのが愉しくていつも元気をもらっている。Qちゃんはどうやらこの青葱をスナックに使用したようだ。カメラウーマンの私の腕をつかみわざわざ現場へと連れていきボランティアで再現映像までかってでた。

そういえば「青い物体」がリフライズビーンの上にのっていたな。あれはこの青葱だったのか。

最近の習慣に取り入れられつつあること。ひまわりさんから頂いたプランツ3兄弟(まだ名前はつけていない)に話しかけることだ。 彼らに毎晩ご飯も与えている。

ここまで来ると「犬」の替わりに「プランツ3兄弟」を胸に抱き寄せて散歩をたしなむ日も近いかもしれない。 それを想像するとちょっと違和感がある。近所の電信柱に私の似顔絵が描かれて「危険人物」なんて紙が貼られたらとんでもない!

晩ご飯: Qちゃん、あなたの好物ぞろいです。あなたの為だけの晩ご飯です。ヒヨコ豆と鳥の心臓のオレガノ煮込み
クリーミーマッシュポテト
オレンジカラーサラダ

Qちゃん、お弁当を作ってあげようか。あなたの好物ぞろいです。あなたの為だけのお弁当です。ブロッコリーとビーツと卵の炒めもの。

Qちゃん、今度スペルト小麦パンで砂糖たっぷりのPJサンドイッチを作ってあげようか。そしたらヘルシー思考のQちゃんは嫌がるだろうな。うひひひひっ。

私はこうして時どきQちゃんを苛めることを想像するいけない奥さんです。

2008年9月30日火曜日

土の恵、人の恵、それは生命の恵。

マイガーデンのある方が羨ましい。畑で野菜を作りを切望する私は心底からそう思う。

マイガーデンで収獲した食べ切れない「土からの恵」を皆さん親切におすそわけしてくれる。これは誠にありがたいことである。「仕事の殿」ことドン サカイ氏から見事な紫蘇をまたもや頂いた。 今度は彼の庭から東洋梨までついてきた!東洋梨は私の大好きな果物ナンバーワンだ。殿、ありがとうございます。

殿から頂いた紫蘇で日本の父が時どき作って保存していた「大蒜味噌」を再現してみた。大蒜たっぷり、 脂たっぷり、 砂糖たっぷりの大蒜味噌。ご飯がたっぷり食べられます。大蒜味噌で調理した味噌茄子は最高です!今度茄子を買ってきて晩ご飯のおかずに作ろっと。トマト達もQちゃんがよく持ち帰ってくる。 仕事仲間がくれるのだ。こうして綺麗に並べて写真撮影をしているなんてなんとも暇な私である。暇ついでにトマトの数を数えてみる。17個もある。

フレッシュなトマトはやっぱりそのまま食するのが一番。オリーブオイルとライムで頂きます。

晩ご飯: 大地の恵、人の恵、それが私の暮らしの恵になる。マスタードチキンとブラックビーン
マッシュドポテト
トマトサラダ
玄米
ブロッコリー

こうして素朴な生活を改めてみると「生きる」とは感謝の連鎖だな。

2008年9月29日月曜日

ずっこけフォトグラファー

「ペー君、 じゃパパは仕事に行ってくるから留守番宜しくな」

パタン。

玄関の扉が閉まる。しめしめ誰もいなくなったぞ。これがママがいじっているカメラだな。クンクン、悪臭はないようだ。いつもこうして顔を近ずけているんだよな。僕も真似をしてみよう。スマイル!

スマイル!

スマイル!変だな、ママが「スマイル!」と言うといつもカチッと音がするんだけど。あの魔法の言葉は「スマイル!」じゃなかったのかな。僕の聞き間違いだったのかな。おっとっと、バランスを崩してしまったじゃないか。フォトグラファーって身体を張ってする職業なのか。僕はモデルの方が楽ちんで好きだな。

「Qちゃん! 晩ご飯ですよ!」

ほら来た、ママは毎晩テーブルの前でああしてカメラに顔を近ずけているんだ。

「はーい、スマイル!」

カチッ。

やっぱりマジックワードは「スマイル!」じゃないか。ビーフと黒豆のメキシカンラザニア
ターキーハムと黒オリーブのパルメザンチーズサラダ
トマトと久離と玉葱のイタリアンマリネ

それにしてもママがいつも「スマイル!」っていったってテーブルのモデルは無表情なんだよな。

まったく。アマチュアのモデルときたらサービス精神がなくて仕事にならないな。僕みたいなプロのモデルは各が違うんだ。