三日月が空に浮かぶ夜はミステリアス。
決して夜道を一人で歩いてはいけません。なぜなら、
白黒タキシードに身を包む化け猫に遭遇したり、
夜遊び上手な兄ちゃんに「そこの姉ちゃん、俺と遊んでいかないかい」と暗闇から不意に声を掛けられたり、
眠ってるはずのリスに胡桃を投げつけられるから。恐くなって急いで家に帰ろうと誰もいないはずの歩道を歩いていたらどこからか足音が聞こえてくる。
どうやら、さっきの化け猫にストーカーされているようだ。 はっ、はっ、はっ。少しだけ悲劇のヒロインになって夜道を走って帰ってみたけれど、化け猫は途中で近所の庭に姿を消した。 どうも私の勘違いだったようだ。
トントントンと階段を上がって扉を開けると今度は何が私を待っているのだろうか。晩ご飯:
スペルト小麦とコーンミールのパンケーキレッドレタスとキュウリのオリーブサラダ
アパートの扉を開けると腹を空かした羊とオラウータンが出没した。自分が食べられる前に彼らに晩ご飯を作って満腹にした後、私は今夜のミステリアスな夜をもう1度一人静かに回想した。
(完)

