このまま家に帰って寛ぐにはもったいないほど天候が良い。
ならばこのまま陶芸教室に行ってジェリー先生に写真を持っていって、ついでに出来上がったQちゃんの陶芸作品を取りにいこう。
陶芸教室ではジェリー先生が教える子供達とご父兄が絵を描いていた。 漫画のキャラクターやディズニーの人気者が白い紙の上に鉛筆で形つけられていた。
 ジェリー先生は私とQちゃんを見るといつものように大袈裟に「おおっ! 誰が来たかと思えばアディソン夫婦じゃないか!」と歓迎して下さった。
ジェリー先生は私とQちゃんを見るといつものように大袈裟に「おおっ! 誰が来たかと思えばアディソン夫婦じゃないか!」と歓迎して下さった。「先生に渡したいものがあるんです。 それと僕の作品を取りにきました」と優等生のQちゃんが報告する。
私はジェリー先生に授業最後の夜に撮影した写真を手渡した。
先生は1枚ごと写真を見るたびに「オッオ!」とか「アッア!」とかユニークなコメントを加えた。 写真をお礼に渡すと先生はとても喜んで下さった。
先生はカウンターに置いてある彼の美術用具が入っているスーツケースに写真を入れると、「作品を取りに来たんだったね。 釜の部屋にあるよ。 見に行こう」とQちゃんに告げて二人は釜のある部屋に姿を消した。
二人は釜の部屋から作品を手に戻ってきた。 私とQちゃんはジェリー先生とハグをして先生にお礼を告げてその場を去った。 ジェリー先生が子供達と笑う声が閉めた扉から聞こえた。
「こういうことをされると先生をしていてよかったな」と思ってくれたらいいな。
過去の自分とジェリー先生が重なった。 きっとQちゃんも過去の教室にいた自分と彼を重ね合わせていただろう。
散歩でもしようか。Qちゃんと私はトレイルを歩くことにした。
 このトレイルを陶芸クラスが始まる前によくQちゃんと共に歩いた。
このトレイルを陶芸クラスが始まる前によくQちゃんと共に歩いた。 あの時は初夏だったけれどもう秋になった。
あの時は初夏だったけれどもう秋になった。 だけれど、今日はあまりにも空が青くてあまりにも緑が煌びやかだ。
だけれど、今日はあまりにも空が青くてあまりにも緑が煌びやかだ。 ベリーがある森ならば、
ベリーがある森ならば、  Qちゃんは野宿でも生きていけるわね。
Qちゃんは野宿でも生きていけるわね。 若い頃はワイルドな暮らしもいいわよ。
若い頃はワイルドな暮らしもいいわよ。  だけど今はもう落ち着きたいわ。
だけど今はもう落ち着きたいわ。 見て、この木。 沢山の技が出ているわ。
見て、この木。 沢山の技が出ているわ。人生にはたくさんの選択が手を伸ばす。
あの頃は自由な選択ができるとは特権だと思っていたけど、いっそのこと選択のよちがない生き方の方が簡単だったのかしらとふと考える贅沢な身分の自分がいる。
 お願い、Qちゃんの手を握らせて。
お願い、Qちゃんの手を握らせて。 Qちゃんの細い指先に触れている感触。Qちゃんがこうして居てくれることに感謝しています。
Qちゃんの細い指先に触れている感触。Qちゃんがこうして居てくれることに感謝しています。 これからも「二人の影」で歩いていきたい。 そうさせて下さい。
これからも「二人の影」で歩いていきたい。 そうさせて下さい。 人生は予定した通りにはならないこともある。違う道を選ばなければならないこともあるわけで。
人生は予定した通りにはならないこともある。違う道を選ばなければならないこともあるわけで。 何が待っているか判らないわけで。臆病になる私がいたっけ。
何が待っているか判らないわけで。臆病になる私がいたっけ。 何が待っているか判らないのは、Qちゃんだって同じだよね。
何が待っているか判らないのは、Qちゃんだって同じだよね。 Qちゃんにすごく甘えてるよね。 これっていけないね。 Qちゃんの重荷にはなりたくない。
Qちゃんにすごく甘えてるよね。 これっていけないね。 Qちゃんの重荷にはなりたくない。 父親と子供が楽しむ姿を見ると自分に聞いてみる。Qちゃんの子供を欲しいと思ったことがあったかな。
父親と子供が楽しむ姿を見ると自分に聞いてみる。Qちゃんの子供を欲しいと思ったことがあったかな。 不定はしなかったけれど泣くほど欲しいとも思わなかった。
不定はしなかったけれど泣くほど欲しいとも思わなかった。 結婚前はサッカーチームが出来るほど子供を作るんだと冗談を言っていた貴方に。
結婚前はサッカーチームが出来るほど子供を作るんだと冗談を言っていた貴方に。 冗談でしょう? 私を殺す気? と、バーガーキングの$1ワッパーを二人でかじりながら笑った頃が懐かしい。
冗談でしょう? 私を殺す気? と、バーガーキングの$1ワッパーを二人でかじりながら笑った頃が懐かしい。 あれから16年。子供がいない生活に慣れてしまった。
あれから16年。子供がいない生活に慣れてしまった。 「子供ができない夫婦」というキャタゴリーに所属していく自分達を認め、この先も「二人の影」で歩いていくことが予想地図。
「子供ができない夫婦」というキャタゴリーに所属していく自分達を認め、この先も「二人の影」で歩いていくことが予想地図。だからなの、貴方が私に向ける愛情と優しさが私の予想以上なのは。
 「この木が何の木だか判るかい? 見上げてごらん」急に立ち止まって果物モンスターのQちゃんが私に尋ねる。
「この木が何の木だか判るかい? 見上げてごらん」急に立ち止まって果物モンスターのQちゃんが私に尋ねる。 洋梨だわ。それにとても綺麗な洋梨よ。自分の家にこんな果物の木があればいいわね。 いつももらってばかりの人にもおすそわけできるもん。私は東洋梨の木を植えたいな。
洋梨だわ。それにとても綺麗な洋梨よ。自分の家にこんな果物の木があればいいわね。 いつももらってばかりの人にもおすそわけできるもん。私は東洋梨の木を植えたいな。 Qちゃん、この実何だか知ってる? 散歩をしているとよく見かけるの。
Qちゃん、この実何だか知ってる? 散歩をしているとよく見かけるの。 「なんだろうな」首を傾げるQちゃん。
「なんだろうな」首を傾げるQちゃん。 うふふ、Qちゃんも知らないことがあるのね。なんか「やった!」って気分。
 うふふ、Qちゃんも知らないことがあるのね。なんか「やった!」って気分。 Qちゃん、地面に落ちているのはプラムじゃないの? じゃ、この木はプラムの木ってこと?
Qちゃん、地面に落ちているのはプラムじゃないの? じゃ、この木はプラムの木ってこと? 果物の木々を見ることがあまりなかった私にとって「こういうご対面」は大変興味深い。 果物や植物を見て育ったQちゃんにとってはあまり私ほど興奮してくれないが、説明はしてくれる親切なツアーガイドだ。
果物の木々を見ることがあまりなかった私にとって「こういうご対面」は大変興味深い。 果物や植物を見て育ったQちゃんにとってはあまり私ほど興奮してくれないが、説明はしてくれる親切なツアーガイドだ。 Qちゃん、少し休もうよ。その為にベンチがあるんだから。
Qちゃん、少し休もうよ。その為にベンチがあるんだから。  駄目だ。 聞こえてない。
駄目だ。 聞こえてない。 私がこんなに遅くれて歩いていることも知らないでしょう、Qちゃん。振り向きなさいよ!
私がこんなに遅くれて歩いていることも知らないでしょう、Qちゃん。振り向きなさいよ!
私の魔法が利いたのかな。Qちゃん、くるっと振り向いた。 「これからもQちゃんを独り占めできますように」と心の中で魔法をかけて、私はQちゃんに向かって走っていった。
「これからもQちゃんを独り占めできますように」と心の中で魔法をかけて、私はQちゃんに向かって走っていった。
晩ご飯: 絹さやと隠元豆と牛肉の炒めもの
絹さやと隠元豆と牛肉の炒めもの
キヌア
野菜サラダ
散歩で健康、 晩ご飯で健康、貴方と暮らせる心の健康。今日もすばらしい出来事をありがとう。
 
 

