2008年9月30日火曜日

土の恵、人の恵、それは生命の恵。

マイガーデンのある方が羨ましい。畑で野菜を作りを切望する私は心底からそう思う。

マイガーデンで収獲した食べ切れない「土からの恵」を皆さん親切におすそわけしてくれる。これは誠にありがたいことである。「仕事の殿」ことドン サカイ氏から見事な紫蘇をまたもや頂いた。 今度は彼の庭から東洋梨までついてきた!東洋梨は私の大好きな果物ナンバーワンだ。殿、ありがとうございます。

殿から頂いた紫蘇で日本の父が時どき作って保存していた「大蒜味噌」を再現してみた。大蒜たっぷり、 脂たっぷり、 砂糖たっぷりの大蒜味噌。ご飯がたっぷり食べられます。大蒜味噌で調理した味噌茄子は最高です!今度茄子を買ってきて晩ご飯のおかずに作ろっと。トマト達もQちゃんがよく持ち帰ってくる。 仕事仲間がくれるのだ。こうして綺麗に並べて写真撮影をしているなんてなんとも暇な私である。暇ついでにトマトの数を数えてみる。17個もある。

フレッシュなトマトはやっぱりそのまま食するのが一番。オリーブオイルとライムで頂きます。

晩ご飯: 大地の恵、人の恵、それが私の暮らしの恵になる。マスタードチキンとブラックビーン
マッシュドポテト
トマトサラダ
玄米
ブロッコリー

こうして素朴な生活を改めてみると「生きる」とは感謝の連鎖だな。

2008年9月29日月曜日

ずっこけフォトグラファー

「ペー君、 じゃパパは仕事に行ってくるから留守番宜しくな」

パタン。

玄関の扉が閉まる。しめしめ誰もいなくなったぞ。これがママがいじっているカメラだな。クンクン、悪臭はないようだ。いつもこうして顔を近ずけているんだよな。僕も真似をしてみよう。スマイル!

スマイル!

スマイル!変だな、ママが「スマイル!」と言うといつもカチッと音がするんだけど。あの魔法の言葉は「スマイル!」じゃなかったのかな。僕の聞き間違いだったのかな。おっとっと、バランスを崩してしまったじゃないか。フォトグラファーって身体を張ってする職業なのか。僕はモデルの方が楽ちんで好きだな。

「Qちゃん! 晩ご飯ですよ!」

ほら来た、ママは毎晩テーブルの前でああしてカメラに顔を近ずけているんだ。

「はーい、スマイル!」

カチッ。

やっぱりマジックワードは「スマイル!」じゃないか。ビーフと黒豆のメキシカンラザニア
ターキーハムと黒オリーブのパルメザンチーズサラダ
トマトと久離と玉葱のイタリアンマリネ

それにしてもママがいつも「スマイル!」っていったってテーブルのモデルは無表情なんだよな。

まったく。アマチュアのモデルときたらサービス精神がなくて仕事にならないな。僕みたいなプロのモデルは各が違うんだ。

2008年9月28日日曜日

メキシコからの風便り The Breeze From Mexico

コーヒにミルクを入れて、群青色のコーヒカップをラニママからもらった唐辛子のコースターにのっける。

私はまだ薄暗い小さなアパートから飛び出してパソコンを通して太平洋を越える。

そう、これが私の朝の日課だ。

「私の愛する子供達へ。今月にでもカリフォルニアのお友達と一緒にメキシコでゆっくりしてくる予定なの。 今からワクワクするわ」とパソコンを開くとラニママからそんなメールが届いていた。

メキシコか。

スペイン語が話せないから一人で旅をするのは恐ろしいけれどQちゃんと二人で行けたらいいな。

そんな想いを胸に私はコーヒーを飲み干してジャケットをはおって仕事に出かける。

あれから幾日が過ぎたようだ。

今朝パソコンを開くと、ラニママからメキシコの生温かい海風が朝一番で私のアパートに到着していた。さわさわと海の香りとさざ波が聞こえてくる。トラベラーはアクトレスになれる時間かもしれない。見知らぬ街で見知らぬ自分になる時間。見馴れない建物や風景、エキゾチックな人々の身なりが媚薬のようにトラベラーを大胆にしてしまう。もう二度と会うことのない人達と過ごす短いバカンス。別れの時がくればふっと消えてまた自分の暮らしに舞い戻どる。

トラベルをしない私には「旅」はいつも感傷的になってしまう。

「浜辺の潮風はとても気持ちが良かったわ。 だけど蒸し暑いのなんのって! ホテルのクーラーが壊れてなくて本当に助かったわ」と優しいジョークをのべるラニママ。

トラベラーなラニママには「旅」はいつもエナジーを与えてくれるビタミン剤なのだろう。

素晴らしい子供達を育てあげたラニママにはこの先健康である限りなに不自由ない暮らしをしてほしい。

それがラニママへの私からの願いだ。

晩ご飯:紫蘇と米粉麺
野菜炒め
オリーブとタマネギサラダ

「人間は歳を募らせるほど自分の人生が向上していると思えるようになる傾向にある」とある心理学者が語っていた。

ラニママや私の父を見ていると人生波乱に頑張ってきた人間ほど老後は犠牲にしてきた分だけに楽しんでもらいたいものである。

2008年9月27日土曜日

喉と鼻がやられたら--ななさんの処方箋

喉と鼻がウイルスに占領されていた2日間のオフ。

今週は重大な仕事が予定されている。 それに来週はアメリカ帰化への面接試験日がある。 精神的に空き間のないスケジュールがギッシリと詰っている。

この2日間で健康を挽回しておきたい。

そう切望した私はクリネックスを片手にインターネットで専門家や友人のアドバイスを頼りに戦略をいろいろと実行してみた。

すると自分でも驚くほどに免疫が再興してウイルス菌を抹殺したようだ。

あまりにも「私に効果てきめん」だったのでこの処方を書き下ろしておく。

ななさんが喉と鼻をやられたら:

(1) 塩水でうがい、塩水で鼻孔を洗うべし。
(2) ビタミンCをとるべし。
(3) 熱い風呂に入って布団に包まってポカポカ状態で一気に寝るべし。

以上の処方を「この限られた48時間」に何度も実行していたら完治してしまった。

喉がクリア、鼻から空気をおもいっきり吸える。健康であるって何事にも替えられない凄いことだな。

晩ご飯: 体調が良くなったから今晩はすこし張り切ってオーブンでベイキング料理にしよう。イギリスの家庭料理シェパーズパイをななさんアレンジで焼いてみた。 今夜の付合せのサラダも大胆なものにしてみよう。シェパーズパイ
トマトと久離と玉葱のイタリアンマリネ
いんげんまめとピーカン

これはあっぱれ、あっぱれ!

Qちゃん、美味しいでしょう? あなたもイギリス人の血統が流れているから「この味」懐かしいでしょう。

今日ね、ひまわりさんからこんなに可愛いサボテン3兄弟をもらったの。可愛いでしょう。サボテンって植物というより動物みたい。名前をつけて育てようよ。「だったら身体の大きさで決めよう。大きいのがゴー君だ、中くらいのがペー君だ、一番小さいのかキーちゃんだ」

Qちゃん、 もっと空想的な名前をサボテンに付けようよ! ジョージとかさ、キャロルとかさ、アンソニーとか。

二人だけのアパートに子供のような会話が今宵も流れていく。

ななさんが喉と鼻をやられたら:

(4)心温まる家庭で癒されるべし。

一番効果的な処方箋を加えるのを忘れてた。

2008年9月26日金曜日

兎の餅つき

夕食の後の散歩。今日のコースはTrader Joe's まで足をのばしてみることにした。

ドライフルーツ、スペルトパン、ミルク。 それに少しの野菜もお買い得だから買っちゃった。

Qちゃんのバッグにそれらを入れるとパンパンになってしまった。 残りのポテトチップスは私が手で抱えることにした。

散歩をしている人間を車の助手席から覗くと「健康だな」とつい感心してしまう。

だから散歩している私を見るとそのように感心してくれているのかなと自意識してしまう。

だがヘルシーなはずの人間が横腹にポテトチップスを抱えて信号待をしている姿は矛盾していてなんとも恥ずかしい。

そんなこと誰も気に止めることはないのだろうが。

信号が青に変わりコンクリートの高速道路の下を越えると薄暗い空が目の前に広がった。

赤い満月がぽこっと街を照らしている。

帰路を急そいでいたQちゃんの足取りが急に止まった。

どうしたの?

「満月だね」とQちゃんはしみじみと月を見上げている。

歩道を過ぎ去る車もだんだんと疎らになりみんな誰かが待つ家へと急いでいる。

その隣で二人はちょっとばかりの月見をたしなむ。

Qちゃんと私は絶えまなく進む「横の時間」から少しの間だけエスケープして過去にも未来にも進むことのないこの場限りの瞬間「縦の時間」を楽しんでいた。

Qちゃんはさらに続けて「兎が見えるかい? ほら、あの部分が兎の耳であの部分が胴体だ」と赤い満月に浮かぶ白い点々を指差して説明している。

月で兎が餅をついているというのはよく聞く。しかし今夜の満月はどうしても兎が住んでいるようには見えない。

そう告げるとQちゃんはポケットからペンを取り出して私が抱えていたポテトチップスに彼の想像する「月で餅をつく兎の絵」を描き出した。「この部分が兎の身体で、この部分が餅つきの臼だろ。 ほら、こうして見ると兎が月で餅をついているように見えるだろ?」キョトンと月を見上げる私をQちゃんは路上でギュッと抱きしめた。

Qちゃんは私の旦那さんであるが未だにこうして彼の肌に触れると恥しいというドキドキした感情を抱いてしまう。

、、、どうかな? 月で兎が餅をつく。それは日本でのお話でアメリカでは関係ないんじゃないの?

ロマンテックになれればいいのだろうが、私にはどうしてもロマンテックという形容詞が不似合いな気がしてアヤフヤにしてしまう。

Qちゃんもそんな私に慣れてしまった。

「は、何だって?」と聞く気もない生半可な声でそういうと、Qちゃんはまたテクテクと前を向いて歩き出している。

私はその後をひたすら追う。

アパートの間近に来た。私はQちゃんの後を追う。

突発的にQちゃんがくるっと振り返る。

「このポテトチップスに釣られて君がいそいそと僕のアパートについて来ていると皆が思ってたら可笑しいね」

そういうと手にしていたポテトチップスをザックザックと上下に振り「さあ、僕の白熊ちゃん。スナックだよ、こっちへおいで」とからかってみせる。

そこで失礼ね!と頬を膨らませばいいのだろうが、お調子者の私はついここで「ガルウウウッ!」と口からヨレヨレと舌を垂らして見せるからQちゃんをますますつけあがらせるのだろう。

晩ご飯: イエローチキンタイカレー
サラダ

Qちゃん、白熊ちゃんがアパートまでのこのことついて来たんだからポテトチップスを食わせろって唸ってるよ。

「晩ご飯を食べたばっかりじゃないか!」

でも平気みたいよ。このポテトチップスは特別なんですって。「REDUCED GUILT (気にすんな)」だもん。

2008年9月25日木曜日

朝蜘蛛--朗報

朝蜘蛛を見ると私は反応する。

朝蜘蛛を見ると縁起が良いと子供の頃に教えられたからだ。

母によると朝蜘蛛は小さいものでなければいけない、又は細い手足の蜘蛛でなければいけないといっていたように思う。今朝の朝蜘蛛は小さかった。 どんな縁起をもたらしてくれるのだろうか。

その日、東京の姉千寛ちゃんから「9ヵ月に入る」とメール連絡が届く。

お腹の赤ちゃんの様子や名前の選択、神奈川の姉美保ちゃんとのプチランチ、妊婦千寛ちゃんの食事事情(鉄分不足など)も書かれていた。

どうやら母子共に順調なようだ。

9ヵ月の妊婦千寛ちゃんの写真が送られてきた。写真を見るとますますタレントの千秋さんに似ている。

茶色で丸顔で目がズングリな「狸顔」の私と違って、千寛ちゃんは色白で細顔で目が切れている「狐顔」だ。

そんなことはどうでもいいんだけれど、赤ちゃんが大きくなったら暇潰しにパソコンを開いて読めるように「叔母さん姉妹の記録」として残しておこう。

メールの内容から赤ちゃんの男女の名前候補がすでに挙がっているのがうかがえる。

なかなか洒落たお名前でいうことはない。

ちなみに建前なのかどうか知らないが「⑨と⑦の意見も聞かせてね」と書いてある。

千寛ちゃんのメールではいつもQちゃんを英語の「Q」ではなくて数字の「9」で呼ぶ。 そしてたいそうご丁寧に丸で囲んで「⑨」と書いてくるのだ。妹の私も同じで「⑦」である。

その夜帰宅したQちゃんを捕まえて赤ちゃんの名前候補について彼の意見を聞いてみる。

Qちゃんも千寛ちゃんと淳さん夫婦が選んだ名前候補に満足しているようだ。

しかしぶつぶつと何か言っている。

「男の子なら『ヘンリー』、女の子なら『蜜柑』。それか『絹』っていうのもいいな。チッヒロにメールして候補に入れてくれるように頼んでおいてね」

悪気のない顔でいうQちゃん、まるで子供同然だ。

「僕達に子供が出来たら名前は『ヘンリー』か『蜜柑』にしよう」昔はよくそう語り合ったものだ。

半分諦めたからって自分の赤ちゃんの名前候補を「頼まれてもいないのに」譲ってどうするの。

それに『絹』っていう名前候補はいつから君の頭の中に追加されたのさ?

いいよ。報告しておきますけど恐らく「蜜柑ちゃん」とか「ヘンリー君」とか「絹ちゃん」にはならないよ。

そう言うと、Qちゃんはくすっと戯けた顔をした。

もう、 こんな時間。 お腹がペコペコ! 晩ご飯にしましょう!みょうがときゅうりの酢の物
米茄子ステーキ
いんげん
大蒜スープ

朝蜘蛛さんが私のアパートに運んできたのは千寛ちゃんと赤ちゃんの朗報だった。

もう一息だ、千寛ちゃん。 絶対に大丈夫だからね。

2008年9月24日水曜日

みょうがです!

社交家ではない私には人を招くことは一寸したイベントだ。

前回はとしさんに足を運んでもらった。 今度はひまわりさんと黒猫さんにぜひ来てもらいたいと忙しい二人に連絡をしてアレンジに成功した。ひまわりさんが渡してくれた黒豆茶。「冷たくして飲んでもいいし、温かくして飲んでもいいよ」とひまわりさん。二人が来る前に準備をしておいた。

然し、今回は取り止めという結末になってしまった。

また皆の時間が合う時に集合しましょう。ひまわりさんがもってきてくれた元気な野菜君達。キラキラ光る光沢のあるプチトマト。ピクルス用の小振りなきゅうり。初めて見た丸っこい(きゅ)うり。凄い! ひまわりさんのお庭からみょうがを頂くなんて! みょうがです! みょうが!ひまわりさんの作った夏野菜タップリの「サマーキンピラ」。 ごぼう、人参、南瓜、ズッキーニ、 もしかしてまだまだ隠された夏野菜が入っているかもしれない。黒ゴマまで振ってあるところが「ひまわりさんの料理へのこだわり」が表れている。

ひまわりさんからの頂きもので感謝した晩ご飯です。みょうがとキュウリの酢の物
サマーキンピラ
サラダ
サーモンフレーク

みょうが、この匂いと味。 日本の母の味です。ひまわりさんに感謝した晩ご飯でした。 ごちそうさまでした。 そしていつもいつもありがとう。

2008年9月23日火曜日

二人でトレイルを。

車の排気ガス点検がスムーズに終えた。

このまま家に帰って寛ぐにはもったいないほど天候が良い。

ならばこのまま陶芸教室に行ってジェリー先生に写真を持っていって、ついでに出来上がったQちゃんの陶芸作品を取りにいこう。

陶芸教室ではジェリー先生が教える子供達とご父兄が絵を描いていた。 漫画のキャラクターやディズニーの人気者が白い紙の上に鉛筆で形つけられていた。ジェリー先生は私とQちゃんを見るといつものように大袈裟に「おおっ! 誰が来たかと思えばアディソン夫婦じゃないか!」と歓迎して下さった。

「先生に渡したいものがあるんです。 それと僕の作品を取りにきました」と優等生のQちゃんが報告する。

私はジェリー先生に授業最後の夜に撮影した写真を手渡した。

先生は1枚ごと写真を見るたびに「オッオ!」とか「アッア!」とかユニークなコメントを加えた。 写真をお礼に渡すと先生はとても喜んで下さった。

先生はカウンターに置いてある彼の美術用具が入っているスーツケースに写真を入れると、「作品を取りに来たんだったね。 釜の部屋にあるよ。 見に行こう」とQちゃんに告げて二人は釜のある部屋に姿を消した。

二人は釜の部屋から作品を手に戻ってきた。 私とQちゃんはジェリー先生とハグをして先生にお礼を告げてその場を去った。 ジェリー先生が子供達と笑う声が閉めた扉から聞こえた。

「こういうことをされると先生をしていてよかったな」と思ってくれたらいいな。

過去の自分とジェリー先生が重なった。 きっとQちゃんも過去の教室にいた自分と彼を重ね合わせていただろう。

散歩でもしようか。Qちゃんと私はトレイルを歩くことにした。このトレイルを陶芸クラスが始まる前によくQちゃんと共に歩いた。あの時は初夏だったけれどもう秋になった。だけれど、今日はあまりにも空が青くてあまりにも緑が煌びやかだ。ベリーがある森ならば、 Qちゃんは野宿でも生きていけるわね。若い頃はワイルドな暮らしもいいわよ。 だけど今はもう落ち着きたいわ。見て、この木。 沢山の技が出ているわ。

人生にはたくさんの選択が手を伸ばす。

あの頃は自由な選択ができるとは特権だと思っていたけど、いっそのこと選択のよちがない生き方の方が簡単だったのかしらとふと考える贅沢な身分の自分がいる。
お願い、Qちゃんの手を握らせて。Qちゃんの細い指先に触れている感触。Qちゃんがこうして居てくれることに感謝しています。これからも「二人の影」で歩いていきたい。 そうさせて下さい。人生は予定した通りにはならないこともある。違う道を選ばなければならないこともあるわけで。何が待っているか判らないわけで。臆病になる私がいたっけ。何が待っているか判らないのは、Qちゃんだって同じだよね。Qちゃんにすごく甘えてるよね。 これっていけないね。 Qちゃんの重荷にはなりたくない。父親と子供が楽しむ姿を見ると自分に聞いてみる。Qちゃんの子供を欲しいと思ったことがあったかな。不定はしなかったけれど泣くほど欲しいとも思わなかった。結婚前はサッカーチームが出来るほど子供を作るんだと冗談を言っていた貴方に。冗談でしょう? 私を殺す気? と、バーガーキングの$1ワッパーを二人でかじりながら笑った頃が懐かしい。
あれから16年。子供がいない生活に慣れてしまった。「子供ができない夫婦」というキャタゴリーに所属していく自分達を認め、この先も「二人の影」で歩いていくことが予想地図。

だからなの、貴方が私に向ける愛情と優しさが私の予想以上なのは。「この木が何の木だか判るかい? 見上げてごらん」急に立ち止まって果物モンスターのQちゃんが私に尋ねる。洋梨だわ。それにとても綺麗な洋梨よ。自分の家にこんな果物の木があればいいわね。 いつももらってばかりの人にもおすそわけできるもん。私は東洋梨の木を植えたいな。Qちゃん、この実何だか知ってる? 散歩をしているとよく見かけるの。「なんだろうな」首を傾げるQちゃん。 うふふ、Qちゃんも知らないことがあるのね。なんか「やった!」って気分。Qちゃん、地面に落ちているのはプラムじゃないの? じゃ、この木はプラムの木ってこと?果物の木々を見ることがあまりなかった私にとって「こういうご対面」は大変興味深い。 果物や植物を見て育ったQちゃんにとってはあまり私ほど興奮してくれないが、説明はしてくれる親切なツアーガイドだ。Qちゃん、少し休もうよ。その為にベンチがあるんだから。

駄目だ。 聞こえてない。私がこんなに遅くれて歩いていることも知らないでしょう、Qちゃん。振り向きなさいよ!

私の魔法が利いたのかな。Qちゃん、くるっと振り向いた。「これからもQちゃんを独り占めできますように」と心の中で魔法をかけて、私はQちゃんに向かって走っていった。

晩ご飯:
絹さやと隠元豆と牛肉の炒めもの
キヌア
野菜サラダ

散歩で健康、 晩ご飯で健康、貴方と暮らせる心の健康。今日もすばらしい出来事をありがとう。