ガタン、ガタン。 ピッー、 ピッー、 ピッー。 ヒュー、 ヒュー。ピッー、 ピッー、 ピッー。
ブルドーザーや重機機械の音や振動がアパートまで響く。
ウォー、ピー、ゴッー。この音だけで機械が砂利をはいつくばって、笛を鳴らして石と土を堀リ上げる。 もう20日は過ぎただろう。その繰り返し。工事現場の作業員がオレンジ色のジャンパーを着てヘルメットをかぶり黙々と働いている。遠くで小さく映る彼らを見ると蟻を思い出す。強いな、生きてるな、働いてるなと心が打たれる。何故だろう、工事現場を通ると安心する。人の存在がこの暮らしでの一時の私の孤独を癒してくれる、全くの赤の他人なのに。彼らが強く見えるからだろうか。この看板が外される頃には工事も完成して、工事現場の地引きをはう音、生きる生身を映し出すこの男達もいなくなる。 そう思うと、何故だろう、心の中に寂しさがこみ上げてくる。丸で恋人がいつか私の側から離れていくのを知っているような切なさ。また一人孤独な自分に戻らなければいけないことを知っているから。
晩ご飯:白豆、オクラ、豚肉のトマト煮込み
きゅうり、玉葱、 ディルのヨーグルトサラダ
ローストヤム芋
味噌汁
スプリット豆ご飯
Qちゃんと私。この夫婦に完成はない。相方が生きる限り工事中なのである。夫婦完成は相手と別れる時なのかもしれない。その時自分達が人生の酸いも甘いも共に経験して完成させた「夫婦歴」を眺め、 幸せだったことを知るのかもしれない。