2008年3月6日木曜日

歯医者さんへいこう

去年左の歯のブリッジが取れて慌てて歯医者にいった。

アメリカの保険現状は良いとはいえない。私の歯科保険が保証してくれるのは年間$2000、あとは自分のポケット払いだ。

去年このブリッジを直すのに私の財布から$2000が消えた。 歯科保険で$2000、自分で$2000、合計$4000かかった。アメリカの医療制度は良いとはいえない。

2008年に突入した、今年の歯科保険$2000を当てにできる。いつでも歯医者にアポイントを取れるのだ。気がつけばもう3月だ、言い訳続きで逃げていた。

先週自分のスケジュール手帳に「歯医者にアポ電話」と記入。そうでもしないと4月になっても、5月になっても歯医者にいかないだろう。

仕事がオフの日にアポイントを取り、今朝一番に歯医者さんのドアを叩いた。去年と同じようにアシスタントの青年と歯科医のビビアン先生に笑顔で再会した。

ビビアン先生はベトナム人アメリカ人でアクセントのある英語でいつも丁寧に接してくれる。前回は日系人の彼の話をしてくれたが、 今でも付き合っているのだろうか。コンピューター画面に私の虫歯の写真を写して説明しているビビアン先生を見ながら余計な事を考えていた。

ベットの上でヨダレ掛けを首からかけてもらい、頭上を照らす熱い光を妨げるためのサングラスを付けて横になった。 ここまでくればもうどうにでもして下さいという気持だ。 ビビアン先生の包丁で調理されるがままの魚と同じだ。

ビビアン先生はキレイで優しい声なので園児になった気分になる。先生の云うことならなんでもききます!という気分だ。「お口を大きく開けてくれるかな?」といわれれば「はーい」と疲れてガクガクした口をさらに大きく開けて協力をしてしまう。

子供が恐い体験をすると母親を思いだして安心するのと同じように、この歳になった私でも「キーン」とか「ガガガガッ」というような歯を削る音を耳にすると母の優しい顔を頭に描く。ちなみに今回は母親以外の女性達の顔も登場した。

1番バッターはハワイのじゅんさんだった。「NANAさん、大丈夫? はははははは」と笑っているじゅんさん。 心配していないとこが彼女らしい。

それからしあわせさんも「NANAちゃん、大丈夫?」と心配そうに登場。本当に心配してくれているようだ。

お次はひまわりさんと黒猫さんが登場して「NANAちゃん、歯だけは直せるときに直しておいたほうがいいよ」とアドバイス。「そうだ、そうだ」と私も二人に納得。

最後にはわたしのボスさんまで登場だ!ちなみにボスさん「NANAちゃん、明日の仕事は大丈夫なの? 休んだらどう?」なんて好き勝手なことを空想してベットの上で仰向けになって大きな口を開けていた。

歯科クリニックから出ると麻酔がすごく効いていて、唇がいかりや長介さん人形のように破裂していた。

家に帰るとQちゃんが私の顔を見て笑いをこらえることができなかったくらいに、 私の唇は麻酔効果で半開き、話しをするたびにQちゃんは私の唇を見てくっくっと笑いを抑えていた。

今思うとどうしてこの顔をカメラに収めなかったのだろうか。自分でもこれは公開できない顔だと思っていたのだろう。

来週もまた歯医者さんへ行く、今度もまたあの耳触りな音を聴くたびに、母の顔や大好きで安心できる友達の顔を想う園児になるだろう。