Qちゃんを見送った後の一人ぼっちのアパートから抜け出した。アパートの狭い空間では自分が黒い影のように重かったが、外に出ると自然と私の足どりが軽くなっていた。

空が青く、春朝の空気もピリッとしている。 もっと自分を外に出さなきゃいけないな。

透き通った水の流れも早く、カラカラと音を立てている。 春を見つけた。

春の陽射に誘われて太陽に触れたくなるのは生き物すべて同じかな。

犬の散歩のおじさんと少し御喋り。

このワンちゃんの父方はジョージ ワシントン大統領が飼っていた犬の血筋が入っているそうです。 おじさん、自信たっぷりで説明してくれました。 ワンちゃんの仕付もできていておりこうな犬でした。

この当たりではよく目にする。水仙の華。黄色が春を感じさせてくれます。

駐車場がピンクの華で飾られて、 小学校の桜道を思い出します。

春の入道雲の下から見上げる梅(桜)の華、春の息吹を目にする瞬間。

カメラを肩から下げて、目に映る春を撮る。

自分の心を動かしてくれるもの、日常という地面にしっかりと密着している確かな写真を撮り続けたい。

良い天気ですね。ところで仕事中お聞ききしますけど、何をしているのですか。

春になったから新しい低木に植え替えているんだ。カメラを持ってあんたは何をしているんだ?

春捜しの散歩をしているの。そのポーズいいわね、 撮らせてもらってもいいかしら?

ああ、いいよ。好きなだけ撮ってくれていいよ。アパートの中で私が一人静思している間、このように人々は動いていたのだ。

アパートの密室では私は悲劇のヒロインだったが、 外に一歩出れば私は誰でもなくなる。通りすがりのカメラを持つただのアジア人だ。

臆病な自分を春の訪れとともに再確認する。

地面に根を広げて二人で寄り添うたんぽぽ。Qちゃんと私を象徴しているよう。誰も気にも止めないけど精一杯に生きているようで自分達夫婦のように見えるのだ。
春さがしは自分さがしだったようだ。

温かい空気を胸に吸い込んだら、Qちゃんと二人のアパートに戻ろう。 時間があるから今晩は少し手の込んだ料理にしょう。