今年の感謝祭は義理の妹ジェアタ一家のお蔭で心暖かいものとなった。彼女の家でターキーもしっかりとお腹の中に詰めてきた。しかし私とQちゃんには感謝祭のテーブルを共にした家族達に隠していた秘密があった。私達の家の冷蔵庫にはターキーが眠っていたのだった。家族や友達をターキーディナーに招待する訳でもない、単なる感謝祭の時期はあまりにもターキーの値段が安くなるので買い貯めをした経済的な理由だ。
すでに年の暮れ12月に入った。大きなターキーが冷蔵庫の中でどっしりと場所を取っていて目障りになってきた。そろそろQちゃんもターキーが食べたくなってきたようだ。最近ターキー、ターキーと九官鳥のように繰り返す。私はターキーはそれほど好きではない。独特のあの匂いが、、どうも頂けない。
できれば我が家でターキーを焼くのは避けたい、特に今のように狭いアパートではあのターキーの匂いが充満されては困るのが本音の所だ。
しかしこの"度でかい"ターキーをこのままにしておくのもうんざりだ。仕事がオフの日に処分することにした。 食べたい御本人のQちゃんはお仕事で、それほど食べたくもない私が一人で処分する羽目になった。
ターキーを処分する朝私はいつもより遅く起きた。と言っても朝の7時15分前だ。Qちゃんはすでに仕事に行ってしまっていた。 目を擦りながらリビングルームに行くとペーちゃんが眠っていた。(*うちの息子ペー君の特技は瞬きをしないこと、 目を開けたまま眠れることです。) ぺーちゃんの枕元にQちゃんからの置き手紙がおいてある。
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りんりん、りんりん、 あっ電話。邪魔くさいから留守電にしちゃえ。
「もしもしハニーちゃん? Qです。今仕事のブレイク。夜はターキーディナーかな? いまターキー焼いてる? ワクワクするな。 じゃ、また。」留守番電話にメッセージを入れるQちゃんの声。Qちゃんが家に電話をする時はいつも日本語だ。お世辞にも流暢ではないが簡単な会話くらいなら大丈夫だ。
それにしてもQちゃん、普段は仕事のブレイク中に電話をしてくることはないのに、余程ローストターキーが食べたいのだろうか。
しばらくするとあの独特の匂いがしてきた。なんかくっさ~い。ぎゃ、オーブンを開けてターキーの焼き具合を点検してたら火災探知器が鳴ってしまった!うるさいな! しばらく悪戦苦闘!
どう、ペー君。ちゃんと焼けてる?
よしよし、なかなか良い感じに焼けてる。
オーブンから出して30分くらい冷まそうね。その間にグレービーを作るわね。
じゃが芋がとけて野菜とターキーの肉汁が一つになってとっても濃厚で文句なしのグレービーができたわ。
Qちゃんはターキのダークミートが好きなのよ。私はホワイトでもダークでも構わないけど、このカリカリでジュージーな皮(脂)の部分が好きなのよね。
即席ターキーディナーだから、手の込んだものは用意してないけどターキーとクランベリーソースがあればQちゃんを満足させることできるわね。
ターキーとクランベリーソース
ターキーグレイビー
ポテト、人参、 セロリ
サワークラウト
いんげん豆
「すっごく美味しい、 うーん、すっごく美味しい!有難う、 有難う。」Qちゃん大袈裟に喜んでるけどそんなにターキー食べたかったの? これだけ褒められると嫌な気にはならないわよね、正直なところ。うん、 嬉しいわ。
「、、、、ねぇ、ナショナルニュース見てもいいかな?」は~? なんだそりゃ?
あっそう。これだけ褒めておいてテレビ見ながら食べる のね。 ねぇQちゃん、このグレービーの「味の違い」をテレビを見ながらでも分かるの?
Qちゃんの横顔をマジマジと見ながら心の中でQちゃんに呟いてみた。
"Who is a turkey eating papa? Wasn't it obvious, Quddus?"
(ターキーを食べる人は誰なのよ? 初めからそんなの分かりきってたわよ。あなたでしょう、そこにいるあなた、クデュースさん!)
食べきれないターキーの山、二人分を冷凍して残りは翌日のQちゃんのバハイ教勉強会のメンバーに食べてもらいました。愛でたし、愛でたし。