そろそろ帰ってくるな。 ご飯でも炊いておいてやろう。
トントントン。 階段を上がってきたぞ。
ガチャガチャ。ドアの鍵を開ける音だ。「ただいま。 あれ、いい匂いがする。 ご飯作ってくれたんだ」上着をハンガーに掛けてる彼女。
ご飯だけ炊いておいたんだ。
「うわっ、 ありがとう!じゃ、おかずは私が作るね。 まだお腹空いてない? 30分で晩ご飯よ」
はい、待てます! 手を挙げて答える僕。
ご飯を炊いておけば彼女の機嫌は良くなる。彼女の作る美味しい夕食にもありつけるんだから一石二鳥だ。
おっ、できたみたいだ。 ブログのフォトを撮り終えた?
いつも「これ」してんだ。 本人は結構楽しんでいる。レント豆ご飯
蒸しチキン
萌しとグリーンレタスサラダ
ビーツ葉の炒めもの
キムチ
味噌汁
青唐辛子
食ってる、 食ってる。 今晩はよく喋るな。やっぱり機嫌がいいみたい、今夜の彼女。
ご飯を炊いておいてやるだけで、女ってこうも変わるもんなのか。
「と、そう思ってるんでしょう、Qちゃん」
斜め横に座る彼女が青唐辛子をかじりながら好奇心で目を大きく開いて僕の瞳に聞いてくる。