先月帰化申請をした私。すでに第一段階の指紋を取るアポイントメントが今日あった。
幸いQちゃんと私の仕事のオフの日が重なり、ポートランドのダウンタウンにあるオフォスまで私一人で電車に乗って行かなくて済んだ。
朝10時調度のアポイントメント。 アポイントメントまで30分程時間があったので ポートランドの朝の街並を歩いてみた。
橋を見下ろすと高速道路を忙しげに走るトラックがゴゴゴッと音を立ててトンネルに消えていく。街はすでに動き出している。
Qちゃんはこの街で育ったのか。シアトルほど大きくないがルイストンほど小さくない。
Qちゃんがこよなく愛しているノースウエスト。私も少しずつ彼のノースウエストが好きになってきつつある。
10時少し前にオフィスに入る。 書類に記入を済ませ10人位の申請者と共に別の部屋に移動する。
待つこと15分。私の番号が呼ばれ指紋を取った。機械だから5分で完了。
帰り際に黄色の紙を渡される。移民局員のサービス内容の評価アンケートだ。
私がカウンターで評価アンケートの記入をしているとイスラム系のアフリカ人女性が戸惑っていた。どうも英語が判らないようだ。
「英語は読めますか」と訊ねると首を横に振る。 私はユックリと内容の説明をして一緒にアンケートを記入した。 二人でアンケートを完成させてアンケート箱の中に黄色い紙を入れた。彼女の大きくて黒い瞳が印象に残る。
それを見ていた後ろにいたラテン系の女性。私に英語の助けを求めている。「My pleasure! (喜んでお手伝いしますよ!) 」いっしょにアンケートを済ませて笑顔で部屋を出た。
この國(アメリカ)で生きると決心した私。 英語はある程度理解できるが、英語の判らない彼女らにしてみればとてつもない恐怖、そしてそれを打ちのめす勇気がなければ今朝このオフィスで私達は出逢わなかっただろう。
私の様子を別の部屋から見ていたQちゃん「てっきり局員にアンケートの記入を手助けしてあげるように頼まれてたのかと思ったよ」
外国人に日本語(英語)を教えていた職歴が役立った。「昔のキャリアも捨てたもんじゃないな」と教壇に立っていた頃の自分を久し振りに想い出した。
オフィスの扉をユックリと静かに閉めた。曇空の街の空気は冷んやりしている。時計はまだ11時前だ。
Qちゃん、どうする? まだ早いけどもう行こうか。
Qちゃんはうんうんと笑顔で車に乗り込んだ。それを追うように私も車の助手席のドアを開けた。