夜の8時40分。私とQちゃんは明日はオフなので、夕食のあとまったりとソファーで 布団をシェアしながら横になって映画を見ていた。
何やら外からスピーカの声が聞こえる。
「動くな」、「手を上げろ」、「車からゆっくり出なさい」。
Qちゃんがすでに閉まっているブラインドーを少し開けて外の様子を覗いている。私もペー君を抱いて興味で覗く。
いつの間にパトカーが3台も止まって斜め前の黒い車とスピーカーで交渉している みたいだ。
この交渉、かなり深刻なのか1時間続いている。
始めは何が起こるのかとスピーカーの交渉をQちゃんと二人で顔を見合わせながら盗み聞きをしていたが、容疑者もなかなか譲らないようで警官の言葉に応じない。「動くな」、「手を上げろ」、「車からゆっくり出なさい」。その繰り返しで、もう10時近くになる。
テレビドラマのシーンのような事が起こらないので、Qちゃんは見ていた映画を見ているし、私は「容疑者と警官達の交渉」をブログで報道している。
Qちゃんに「こっそり写真を撮ろうか? これはブログにはいいねただもん」と云うと、Qちゃんが「それはやめなさい!」と眉毛を動かさないで云った。
もし私が「撮りたい!」とQちゃんと交渉を続けたら、Qちゃんは眉毛を逆三角にして真剣に反応するだろう。
もしかしたら、 このスローな「容疑者と警官達の交渉」よりも「QちゃんとNANAの交渉」の方が激しくてブログの話にはいいチョイスかもしれない。Qちゃんをからかうのも明日がオフならいいんじゃないか、と悪戯心も働く。
ここまで書いたら、外が静になっていた。ブラインドーをそっと開けてみる。
ぎょっ! いつの間にパトカーが増えている。それほど深刻な事件なのか? もしかして大量な麻薬押収? なんて頭の中で空想だけが膨れていく。
明日のローカルニュースで報道されない程度で済めばいいけど、 警官も大変な仕事です。 コーヒーでも持っていってあげたいです。お疲れさまです、私は一足お 先に眠らせて頂きます。