子供の頃は国語は大嫌いな科目だった。しかし大人になった私には、何時しか児童文庫は心を癒してくれるアイテムとなった。
人間34年も生きていれば汚い世の中(娑婆の世界)が少しは見えるから、疲れることがある。しかし児童文学の子供達の心にはまだ汚れを知らない世界がある。世の中の不正、不平等、 矛盾を、彼らの正直、 素直、純粋さ、偽りのない有りの侭の姿で直知し反応し理解しようとする勇敢さ。それは大人の世界では時として社会集団の調和を乱す悪者として受け取られてしまう。
題名は私の脳裏に刻まれていたが、 作者の名前は覚えていなかった。 これを期に椋 鳩十さんの児童文学を読んでみた。彼の文学は野性動物を中心にそれを取り巻く狩人や農村漁村の人間模様や暮らしが語られている。自然と暮らす彼らは人間の存在は大自然の法則の中では砂の一粒にも値いしないという人間本来の謙虚さと共に生活している。
お金はないかもしれない。 都会でいう娯楽も頻繁に行なわれてはいないだろう。金で買える中身のない空っぽの価値感より、自分の心でしか得られない特別な価値感と共に暮らす。
ハワイ島でこのような信念を元に自然と調和して暮らしている人が実に多かったように思う。彼らの精神や信仰は強い。 それは我がままで我武者羅に生きてきた20代後半の私が忘れていた暮らし。
地位、 名誉、 見栄、お金の奴隷になりかけて一人だけ足速に歩き出して夫婦の調和を失いそうになった時自分のエゴを改めて発見した。そんな自分が大嫌いになった。それからドップリ主婦をやってみた。 楽しかった。
なんだかんだと今に至る。心のゆとりを取り戻した生活で学んだことは私にはQちゃんの側で暮らせることが一番の安定剤だということだった。児童文庫を読みながら一服できる贅沢な時間を過ごせるのは彼が存在するから。 Qちゃんの奥さんになれて良かった。この本を読み終えてそう思った。