としさんの苺ジャム。
そのままでも美味しい苺ジャム。
Qちゃんから「食べるから残しておいてくれよ」と念を押された苺ジャム。Qちゃんが「忘れているから」私とペー君が食べてます。「忘れているんじゃなくてわざと残してあるんだ!」と可愛い顔にしわを寄せて怒っても全然怖くないけれど、そう云われるのを知っているのでその対策をちゃんと考えてます。Qちゃんの大好きな緑茶でもいかがですかと彼を喜ばせておいて、苺ジャムを添えた焼きたてのバナナブレッドを同時に差し出す。Qちゃんの大好物のジンジャーキャンディーで彼のアテンションを苺ジャムから遠避けておくことも忘れない。
幸せ一杯のQちゃんの笑みを確認したら「苺ジャム、そろそろなくなるわね」と蚊のなくような「誰も聞こえない声」で付け加え、「ルバーブジャムがあるからそれを食べましょう」と元気な声で擦り替える。
Qちゃんは苺ジャムよりルバーブジャムの方が好きだから「そうだな、そうしよう」と納得する。
彼の記録細胞から「苺ジャム」についての情報が薄れていき「ルバーブジャム」の情報を強化させるが目的だ。「苺ジャム」を完全に彼の頭から追い出す最後の手段は「彼の満腹度を他の食べ物で置き換えて最大にする」ことだ。
人間は腹がいっぱいになると食べ物のことを考えないものである。私とQちゃんはその傾向にある。
Qちゃんを適度の満腹状態にしておけば「僕の苺ジャムを食べただろう!」と尋問されることはないと推定する。
Qちゃんが大好きなものを残しておいて、それを私が食べたことは何度もある。
彼は「わざと残しておいたんだ!」と私を叱るが、私に云わせると数ケ月も私のお城であるキッチンのスペースを我物顔でドズンと居留まられては迷惑なのだ。
今回の苺ジャムは邪魔というのは言い訳で「私が食べたかった」だけだ。
Qちゃんは好きな「おかず」を最後まで残しておいたが、 隙を見て私がその「おかず」を箸でつまみ上げ口に入れたようなものだ。
「あれ、僕のおかず、どこにいったかな? 」 とキョロキョロしているQちゃんに「いやっだあ! さっき食べてたでしょう? 憶えてないの?」と云っているようなものだ。
忘れっぽい性格のQちゃんにはこの対策は非常に成功率が高いのである。
しめしめ、今回も成功したようだ。
1週間過ぎたいまでも「苺ジャム」のことは何も聞いてこないのだから。