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Trader Joe's 店内には荒い息を吹きながら前屈みになって、のさのさとカートを押す太った人を見かけない。
Trader Joe's のカスタマーは細めで買物かごを手に持ってスタスタと背筋を伸ばして歩く。Qちゃんはこのカスタマーの部類にすんなりと入る。
スタスタと歩き商品のパッケージをじっくり眺めている。いかにもヘルシースマートな暮らしをしているような人が多い。
そして、 ここに来ると私はいつも疎外感を感じるのはどうしてだろう。
我が家になくてはならないコーントルティーア。Qちゃんは絶対に地元で製造された保存料無しのコーントルティーアを選ぶ。地域経済活性と自分の健康の為だ。
ハワイ島に住んでいた頃は私は豆腐工場とトルティーア工場に足を運んで直接大量の豆腐とコーントルティーアを購入していたこともあった。義理のパパブルークスがそうしていたからだ。 3回程足を運んで私は邪魔くさくなって止めた。パパブルークスは今でもそうしているだろう。
オレゴンに越してきてからは同州のセーラム市で製造されたコーントルティーアを買っている。 しかし保存料が含まれている。
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QちゃんはTrader Joe's に足を運ぶと必ず新商品をチェックする。
新商品でなくても近い将来「我が家(自分)に欠せない食材」になりつつある「候補者」を捜しているのだ。
そして「候補」を捜し出すと彼のバックグラウンド(出身地や栄養情報)を私に読みあげる。
私は「候補者」のバックグラウンドは聞いていない。値段さえ聞けば彼が家に来ることができるかできないかその時の財布と相談して判断する。
「これ試してみようか」Trader Joe's ブランドのコーントルティーアを手に持ってQちゃんがいう。
確かに値段は高い。
が、ライムとコーンフラワーと水だけで作られている。 しかも保存料が入っていないときている。
Qちゃんは限りなく自然のものを求める。 それが素材である、それが生である、それが真である。
彼は調味料がいらない、私は調味料がないと満足しない。
目をはばかる程の種類のパンが並ぶ棚の前でQちゃんは「候補者」を家に連れて帰るように私を説得し始めた。
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そういえばリフライドビーンがなかった。私はいつも豆からリフライドビーンを作る。玉葱をこれでもかと入れるので自然と甘くなっておいしいのだ。
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生地は柔らかいのは確かだ。「油で焼く」と風味が増すのは確かだ。 それは審査員二人とも同意した。
平等の審査をするために「セーレム出身」と同じ調理方で食べてみる。
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「セーレム出身」を「油で焼く」と風味が増すのだろうか。
「今度そうして食べてみようか」と相棒の審査員が私に耳うちした。
面倒だからあなたが作ってよ、 といって私は「候補者」の頭にかぶりついた。