声はひばりのようにピーチクパーチク可愛いのに「いうこと」は遠慮しない。
「もちろんですよ!」私は声を大きくして答えた。

「えっ! まだ生きてるの! すごいじゃない!」そんなに大きな黒目を益々大きくして驚かなくてもいいじゃない。 それともそんなに私は無責任な人間に見えるの?
「うん、見える」こくりと頭を下げてあっさりと答える仕合わせさん。
「あのさ、ななちゃん。プランツもらってくれない?」
プランツ? そりゃ喜んで。 だけど、仕合わせさん。私のアパート情況をしってるでしょう? 陽当りがあまり良くないことを。
「それはちゃんと考慮してあるから大丈夫。 トロピカルな室内植物で日光はそれほど必要ないから。 だけどすっごくでっかいプラントなんだ。ななちゃんはハワイにいたから好きだと思ったんだよ」
葉っぱが大きくてモサモサタイプ? だったら遠慮なく養子にさせて下さい。
「じゃ、明日ななちゃんのアパートに届けてあげるよ。いつ頃がいい?」
とんとん拍子で養子縁組完了。仕合わせさんの周りをぴょんぴょん跳ねて喜びダンスを披露する私。
翌日仕事がオフのQちゃんに仕合わせさんがプラントを届けてくれることを告げて私はアパートを出た。
仕事をしていても頭の中はプランツのことでいっぱいだ。 まるで我が家に仔犬が来るような気分なのだ。
家に帰ってきた。Qちゃんへの最初の言葉は「仕合わせさん、プラントをもってきてくれた?」だった。
黙ってうなずくQちゃん。 その後「これには驚くよ、きっと」と私にウインクしてみせる。


仕合わせさん、プランツだけの養子縁組のはずだったのに、なんと喉から手が出る「居候」を置いていってくれたのでした。

このアパートに住んでもうすぐ2年。キッチンテーブルのない暮らしにやっと終止符を打つことができました。
ここぞという時にいつも側にいてくれる信頼のおける仕合わせさんの寛大な愛情の下でまたオレゴンで前進していけそうです。
Qちゃんと何もかも失って0から始めたここオレゴンでのアパート暮らし。 あの頃は殺風景だったこのアパートの部屋を見渡すと少しずつ「家の温もり」が見えるようになりました。
オレゴンで出逢った親切な人達に囲まれ支えられて生活してこられた証しです。
オレゴニアン、 素敵な人達、 オレゴニアン。
この地に住ませて頂いて、 ありがとう。
追伸: 仕合わせさん、 テーブルと椅子の「居候」はプランツ君とともに大切に家族の一員とさせて頂ます。 これで素晴らしいオレゴニアンを我が家のゲストとして招くことができます。 今度時間ができたら美味しいものを作りますのであなたの「(毒)舌」とともにぜひ来て下さい。いうまでもなくあなたがオレゴン最初の私のVIPです。