幼い頃は千寛ちゃんの後ろをついて回る弱虫な妹だった。 泣きべそだった私には千寛ちゃんは怪獣のように強く見えた。
男の子供と遊ぶのを好み、いつも短いズボンをはいていた髪の短い千寛ちゃん。一見色白な綺麗な男の子みたいだった。
そんなあなたはいっそう「綺麗な女」にぐんぐん成長していき、今まさに女としてできる最大の特権を手に入れようとしている。
紙オムツについている赤ちゃんのウンコを見て「あら、元気がいいわね」と微笑むのですか。
「綺麗におしりを拭いてスッキリしましょうね」と赤ちゃんに語りかけるのですか。
オギャ、 オギャ!「あらら、 お腹が空いているのかしら」そういってあなたはミルクをあげるのですか。ただいま。
「淳ちゃん、お帰りなさい。 ふふふ、 少し早いんだけど買っちゃった」とテーブルに座る淳さんに見せるのですか。
「赤ちゃんがハイハイするためのキリンさん」
「まだあるのよ。亀さん」
「これで終だと思ったでしょう? 淳ちゃん、甘いわよ。 象さんもいるわよ」
「絵本もたくさん読んであげたいわ」
「教えてあげたいことはたくさんあるの」そう言って目を輝かせているのですか。
早いね、もうこんな時間だよ!だけど赤ちゃんはスヤスヤ眠ったみたい。今日はすこし寒いからブランケットを掛けてあげないといけないんじゃない?
「タンスの一番上の右の引出しに入っているから、ななちゃん、出して掛けてあげてくれる?」ほんとにスヤスヤぐっすり眠ってる。
「そうね。電気を消して向うの部屋でお茶にでもしない? ななちゃんのために美味しい和菓子を買っておいたの」あなたと私のそんな会話が耳の奥で聞こえます。

