2008年6月27日金曜日

夕食後の散歩

食後の後、Qちゃんと「散歩」をたしなむ今日この頃。

散歩といっても30分涼しげな森林の裏道をただひたすら歩くこともあれば、途中ウインドーショッピングをして「街発見」をしたりとなかなか貴重な togetherness (二人時間) だ。

散歩の途中、トイレに行きたくなった。

目前にあるスーパーに入ったら、外でプラントセールをしていた。

トイレを済まし、全然その気がないQちゃんを強引に付き合わせて植物を物色した。

「今度、仕事がオフで一人散歩をするときにユックリとここへ来ればいいだろう? その方が焦ることもないし、 時間をかけて植物を見れるじゃないか」

セールが終ってるかもしれないじゃん!遠回しでいわないで「僕は興味がないんだ。さあ、家に帰るぞ」と男らしくいったらどうなのよ!

心の中でQちゃんにアッカンベーをして、私はプラントの前でぶらぶら。

Qちゃんが聞いていようが、呆れて無視されていようが関係ない。私は一人で自分に話し出す。

緑のある空間、癒されるのよね。 植物がある暮らしって、息抜きになっていいわよね。 あれっ、これが、たったの$1.50! 安いわね!

「何だって、どれが$1.50なんだい?」無意味な私の一人ごともたまにはQちゃんの関心を引くようだ。

「偶然だな。オフィスに植物があるといいねって仕事仲間のマーリンと今日話していたんだ」Qちゃんは私を押しやって$1.50プラントを物色し出した。

あら、そういうことだったの。 私が「植物を見たいわ」っていっても無関心だったくせにマーリンさんが「植物があるといいね」っていったことには関心を示すのね。

「どれがいいかな? どれがいいと思う? これなんか机の上に置くにはいいと思わないかい? 」Qちゃんは自分のことになると子供のように喜ぶ質だ、そういう私もそうなんだけど。

Qちゃんの植物でしょう? 私の好みじゃなくて自分の好みで選びなさいよ。聞こえてるけど、無視してやるぞ。

Qちゃんと私は一緒に買物を楽しむことができないようだ。どちらかが興味を示すと、どちらかが退屈になる。

いつもこのパターンだから二人は単独行動するようにしている。

プラントセールの前で今では立場が逆転した二人。 Qちゃんは小さなポットを手にとってあれこれと品定めしている。 その隣で私は腕を伸ばしたり首を左右に曲げたりと軽いストレッチをしている。

Qちゃんは買物をするときあれこれ悩むタイプで第三者の意見(私)を必ず聞いてくる。私は買物をするときは悩まないタイプで第三者の意見(Qちゃん)なんて絶対に聞かない。

「これにしようかな。ななはどう思う? この植物好き?」あまり興味がないし、私好みのモジャモジャ系でもない。

だけれど、ここでQちゃんにそんなことをいったらまた振り出しに戻ってしまう。

一から物色をやり直してもらっては困る。 家に帰りたい、もう家に帰りたい。

いいんじゃないの、その植物シンプルで。Qちゃんが手にする植物をよく観察もしないで、さらりと言ってのける。

この言葉に安心したQちゃんは嬉しそうに$1.50のプラントを胸に抱えてレジ係へ進んでいった。

二人で家に帰る途中「一人歩きもいいけれど、誰かと一緒だとまた『散歩の味』が違うね。 一人散歩だと淋しい時があるんだもん」と私は洩らしてみた。

私はよく「淋しい散歩」を盾にして「散歩用のペット(犬)」を飼ってくれとQちゃんにねだる。このテクニックは何度も使っているので彼にはもう効果がないようだ。

「散歩友達が欲しいのか? じゃ、このプラントはもってこいの『散歩フレンド』じゃないか! 静かだし、温和しいし、犬みたいにワンワン文句も言わないし。おまけにウンコの処理もしなくていいんだ。よかったら僕のこのプランツをあげるよ」

自分の抱えていた植物を私の前に差し出す。

「そしたらななも『女Le′on 』だ。 プラントがベストフレンドだからさ」

どうやらQちゃんは映画「Le′on the Professional」のことを話しているらしい。

馬鹿にされているのか、本当にそう勧めているのか、Qちゃんの横顔を見上げながら考えた。白髪が交じってきたことに無視できないようになってしまったQちゃんの横顔がそこにある。

私はQちゃんにとって散歩に連れ出してもらって喜んでいる耳の垂れさがった犬なのだ。

彼が足を止めたい時には彼の足元でウロウロして彼の要件が済むまで温和しく待ち、 私が道先の汚いごみの匂いをクンクンしていると「そんな汚いものに時間をかけないで、さあ、行くぞ!」とリードをギュッと引かれて渋々と御主人様の後をテクテク付いて行く。

私はQちゃんの犬なのだ。「おいで」というとそそくさと彼の足元に走ってくる都合のいい犬なのだ。

夏の夕暮れは眩しい。彼にキャンキャンと問いかける気力はオレンジ色の夕暮れの街の中に消えていった。

Qちゃん、このプラントに名前をつけてあなたのオフィスの机の上で育てたらどう? そしたらQちゃんだって『偽物Le'on 』になれるよ。

晩ご飯:鳥肉と葱の和風パッタイ
ツナとキャロットのライムサラダ

和風パッタイをライムで爽やかに。ライム、夏場キッチンにはかかせません。