2007年11月16日金曜日

12年振り、アイダホ州ルイストンに帰ってみます-- (2)

スネーク川があるルイストンに着いた私達夫婦サーモンはレット伯父さんとウェンディー叔母さんの家に向かった。

伯父さんと叔母さんはヤキマに住むルースおばあちゃんとラニママ(Qちゃんのお母さん)の家で週末を過ごすためルイストンを今日の午後達った。私達と入れ替わりだ。

Qちゃんはレット伯父さんの家に2年程間借りをしていたので、家族同然だ。私達のルイストン滞在中の宿は地下室の小さなゲストルーム、昔のQちゃんの部屋だ。

懐かしい想い出が残る部屋に荷物をおいて、 レット伯父さんの庭を歩いてみた。あの頃と変わらない庭、ウェンディー叔母さんが庭でガーデニングをしている姿が想像できる。ルイストンに帰って来たんだと少し実感が沸いくる。

あの夏Qちゃんと私はこの庭の角でウェンディー叔母さんが育ててた小さな日本茄子を見てたのを思い出す。 あの時もQちゃんが大好きだったけど「結婚するつもりはない」と言われていたから私にとってQちゃんと一緒になれることは天にも上ることだった頃だ。

冷たいととるか、正直ととるか、付き合ってたあの頃の厳しいQちゃん。私を彼の奥さんになれるかどうか試していたのかもしれない。

結婚してからのQちゃんは違う。付き合ってたあの頃から「結婚/家庭が第一だ」と言う人だったし、プロポーズの内容も「僕は奥さんを大事にする」という規定が含まれていた。 それを実証してきた。 その点の評価は12年立った今も満点だ。

期待しない結婚だったけど、時間がたつにつれて結婚(誰かと一緒に暮らす)っていいなと感じるようになっていた。最近つくずくそう感じる。 Qちゃんと空間を過ごすことで癒される自分がいる。「私も変わったな」メランコリーな気分になって庭先を一人で歩いた。

外の空気を吸ってリラックスして家の中に入ると、Qちゃんが大学の時の友達に電話をしていた。「スティーブ、今ルイストンに着いたんだよ。 NANA もここに居るよ。」

スティーブは私のアメリカ人のお兄ちゃんだ。 18歳でルイストンに来た私にとってスティーブは おかしくて、優しくて、時にはルーズなお兄ちゃん的存在だった。

アメリカ暮らしに慣れるまで好奇心の塊だった私はスティーブをいつもWHY?HOW? WHAT? WHO? WHEN? WHERE? WHICH? と質問攻めにしていた。 するといつもスティーブは低いこもった声で「Curiosity kills the cat! (好奇心もホドホドにしないと痛い目にあうぞ!)」と、冗談なのか真剣にそう言っているのか分からない調子で妹の私にアドバイスするのだ。

ルイストンを離れてから風の便りでスティーブのことは聞いていたけれど、12年振りの再会になる。

12年振りの再会。オレゴンからの長いドライブ、 スティーブと彼の彼女マリアさんが気をきかせてくれて今夜は彼の家で夕食に招待してくれていた。

辺りが薄暗くなって来た、夕食の時間だ。 車に乗りスティーブの住所をチェックするQちゃん。すでに暗くなったルイストンの町を住所の紙を頼りに運転する。

住所の家の前に女性が立っている。 スティーブの彼女マリアさんかな? マリアさんに会うのはQちゃんも私も初めてだ。

マリアさんだ。家の中に招待される。 家の中はマリアさん手製のキルトでデコレートされていて暖かいオーラが感じられる。

しばらくしてスティーブが帰って来た。きゃ~懐かしい!子供のように抱き付きたいけど、マリアさんの手前できない。それに私ももうそういう歳でもなくなったか。
丸くなったわねスティーブ、幸せ太り? 私はもともと丸かったけど今は益々幸せ太りよ。 ペー君、恐がることはないのよ、スティーブおじさんよ。

オチャメな所は健在ね。カメラを握る目の前の私の真似をするスティーブとQちゃん。
スペインのマドリッド出身のマリアさん、もう10年以上スティーブと一緒にいるんだって。 知らなかった。 スティーブやるじゃん!

昔話が止まらない、止まらない。「そろそろ食事にしましょうか」マリアさんがテブールセットを始める。
12年振りの再会のためにマリヤさんがコトコト煮込んでおいてくれたビーフシチューをマリアさんが焼いたハッラー(ユダヤ教徒が安息日やユダヤ教の祝祭日に食べるパン)と一緒に頂く。 Qちゃんも私も長旅でお腹はペコペコ。「ハッラーを初めて焼いたの、、、」とマリアさん。とても美味しかったです。

楽しい想い出話と心の温まる美味しい夕食を済ませた後、マリアさんが「趣味」で作るキルト作品を見せてくれた。

家の奥の部屋がマリヤさんのキルト工場だ。黒い鉄製の小さなクラッシックなミシンが机の上においてある。ヤードセールで見つけたが、壊れていたのをわざわざ部品を発注してスティーブが直してあげたそうだ。マリアさんが愛情に溢れた目でスティーブを見上げて言った。スティーブは照れているのか少し恥しそうだ。 スティーブ昔と変わらないな、こんなところは。
彼女のキルトはミシンを使わない。 針でひと縫い、ひと縫いキルトの生地を縫いあわせていくのだ。マリアさんの時間、才能、センス、技術、愛情が篭った芸術なのだ。

ミシンだと縫い目が機械的で均一だが、 マリアさんのキルト作品は手縫いのため糸の縫い目がそれぞれ微妙に違う。彼女の作品すべては世界で一つしかないオリジナルだ。

大人3人係りで部屋いっぱいに広げたマリアさんのキルト作品。かなりの値段で売れそうですが、彼女曰く「作品は売らない」とのことです。

今までマリアさんが受賞したキルト大会でのメダル達。

スティーブとマリアさんの家には猫が2匹いた。 黄色の猫は恥しがりやで窓に座ってずっと外を眺めていた。「この猫、 特別なのよ。」マリアさんが教えてくれた。

猫の足の指が1本多いの。父親の猫がそうだったため遺伝で彼女もそう産まれてきたのだ。ラッキー猫ちゃんだ。
もう1匹の猫は部屋中ウロウロ歩いていたが、 そろそろ疲れたのかぺーちゃんの隣で一緒にソファーで寛いでいる。
マリアさんが焼いたアップルパイ。付合せのアイスクリームはバニラ? それともチョコレート? それとも半分、半分?
もうこんな時間、そろそろ帰ることにしましょうか。スティーブに会えて良かった、そしてマリアさんにも会えて。
Qちゃんにとってスティーブは気の知れる間柄。スティーブの言葉、ジョーク、表情、反応、全てがQちゃんを笑いの渦に巻き込む。ヒッヒッヒッヒッヒッヒッと息が切れる程笑わせてくれるスティーブお兄ちゃんでした。あの頃と同じだね。


マリアさん、とても素敵な女性でした。 ヨーロッパの女性のホスト振りはささやかな気配り。男を立てる女性という印象で、スティーブとマリアさんは仲睦まじかった。夫婦サーモンはこうは写らないな。 ちょこっと反省、見習わないとね!

スティーブとの再会でルイストン1日目は幕を閉じた。けんさん、たけしさん、二人の話もしてたのよ。 皆のアルバムをめくりながらあの頃のカレッジライフを思い出して懐かしかった。明日は何処に行こかな? やっぱりLCSCでしょう。

続。